バスケ(後)

465 名前:バスケ(後)[sage] 投稿日:2009/11/09(月) 10:01:21 ID:kxIOiTlY
 キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン

 健二の気合に水をさすように、授業終了を報せるチャイムが体育館に鳴り響いた。
 普通の授業なら皆ホッと一息つくところだが、このタイミングは後味の悪いものでしかない。
 担任の教師もそうした空気を知るが故に困惑の表情を浮かべた。
「先生、あとちょっとなんだ。続けようぜ」
 男子生徒の一人が言うと、次々と後に続いてがやがや収拾つかなくなっていく。
 教師としても、続けさせてやりたい。どうせ後十分もかからないだろう。
 だが、この体育は午前中最後の授業で、後に給食の時間を控えていた。
 着替えの時間でただでさえ遅くなるのに、これ以上続ければ、給食のおばさんたちにかなりの迷惑をかけることは避け
られない。それは、さすがにまずかった。
「はい、静かに」
 一度、手を大きく打ち鳴らして、教師は言う。
「この試合は一旦中断な。次の時間がロングホームルームだから、そこで続きをやろう。先生が体育館に場所とっておく」
「体操服はどうしますか?」
「そうだな。試合の後にも時間が余るだろうから、皆そのままで。それでは、解散。教室に戻ろう」


 そんな一連の出来事で、健二たちは釈然としないままに給食を食べている。
 クラスの話題はさっきまでのバスケのことばかり。
 漏れ聞こえる会話が耳に入るたび、健二は自分が嘲笑されているようでいたたまれない気持ちになった。
(バスケ部の俺が、運動の苦手な二宮を前にして全然動けなかったなんて)
 それも、女の子の身体に戸惑って手が出せなかった、なんていう情けない理由だ。
「っ…………」
 思い出すだけで、綾の甘い匂いまでが蘇ってくる気がする。そして、あの間近で見た柔らかそうな身体……。
 体操服の短パンの中、股間のモノがゆるゆると頭をもたげた。
 綾は健二の変化などまるで気づかなかったに違いない。
 しかし、彼女の密着寸前のマンマークに、健二は勃起してしまっていたのだ。
 自慰を覚えてこの方、健二の性欲の対象は常に綾だった。無意識の罪悪を感じながら、記憶の、想像の、綾を汚し
続けてきた。
 それが、その本人が無防備にもすぐ近くに迫ってくる。
 健二はつい先日の自慰の記憶にも苛まれ、思わず前かがみになってしまっていた。
 茜はそこまで図って健二に綾を当てたのだろうか。
 あの、蔑むような嘲りの表情は、少なくとも健二が綾を抜けないと想定してのものであることは間違いない。
(くそっ、女に振り回されてたまるかよっ)
 内心、健二はこの試合中断とインターバルに安堵していた。
 これで心を落ち着けて再び試合に挑むことができる。
「良太、悟! 作戦会議だ、体育館に行くぞ!」
「「「「おう!!」」」」
 男子チームの三人以外にも、数人の男子が立ち上がり、教室を走り出ていく。これは男子と女子の戦いでもある。
さっきまでの給食の会話、女子たちの方が元気だったのは気のせいではないだろう。

466 名前:バスケ(後)[sage] 投稿日:2009/11/09(月) 10:02:15 ID:kxIOiTlY
「いやー、楽しかったー」
 千明が屈託なく笑う。
 勝ち負けどうこうよりも、とにかく身体を動かすことが大好きな少女だ。
 自分は運動が苦手だが、彼女の颯爽とした活躍を見ているだけで楽しい、と綾は感じていた。
 次の時間も実質的には体育の授業になって、千明はなによりも喜んだだろう。本当は教室で読書していたりする
方が好きなのだけど、親友の喜びに水をさすつもりはなかった。
 それに。
 綾も少し、次の試合が楽しみになっていた。
 なぜ、健二が自分のマークを抜けなかったのか、未だにわからない。けれど、呆気にとられる綾に次々とかけられた
女子たちの賛辞は純粋にうれしかった。ずっと足を引っ張り続けていた茜と千明の役に立てた、という思いもある。
 たぶん、あれはマグレなのだろう。もしくは健二の調子が悪かったのだ。
 彼は綾と対峙している間中、視線を彷徨わせ、目が合ったと思えば胸元や下半身をチラチラ見たりしていた。動き
づらそうな前かがみの体勢は、いつもの堂々としたスポーツマンらしい健二と程遠いものだ。頬が少し赤かったので、
熱があるのではないかと本気で心配してしまったが、大丈夫なのだろうか。
「……ねえ、茜ちゃん」
 さっきから綾と千明の会話にも加わらず、何事か考えていたらしい茜は、ん?と顔を上げた。
「なに?」
「あの、さ……なんで私、佐藤くんを止められたのかな?」
 綾に健二のマークを命じたのは茜だ。彼女なら理由を知っているのではないか。
「そりゃ、ね。綾なら健二ごとき止められると私は信じてたからね」
 ニッ、といういつもの笑みを浮かべる茜。けれど、なんともぼかした言い方だ。
「全然動けなかったよね、健二。おかげで助かったよ」と千明。
「でも、佐藤くん……すごくうまいし、バスケ部だし……私が抑えられるなんて、変だよ」
 本当の健二があんなものではないことを綾は知っている。
 茜や千明の応援にバスケ部の大会に言ったとき、男子バスケ部の試合も見たのだ。背が高くていかにも上手そうな
相手校の選手を何人もドリブルで抜いて、健二はゴールにボールを叩き込んでいた。
 あのときの動きとさっきの試合とでは雲泥の差がある。
「綾はもう少し自信を持っていいと思うんだけどなあ」
 茜はそう言って野菜スープをかっこみ、続けた。
「じゃあ、作戦会議しようか。逆転負けして、男どもにでかい顔されるのも癪だからね」
「おー!!」
「う、うんっ」

467 名前:バスケ(後)[sage] 投稿日:2009/11/09(月) 10:04:31 ID:kxIOiTlY
 ロングホームルームが始まり、クラスの皆が再び体育館に集まった。
 健二たちは昼休みの間、存分に身体を動かして準備し、作戦を練った。
 茜と千明の戦術は健二にはわかっている。三人がきちんとプレーすれば負けるはずがないのだ。
 健二は、何度も脳裏に浮かび上がってくる綾の肢体を振り払いながら、練習していた。バスケに集中しようとしても、
淫らな妄想が頭を巡り、股間を熱く固くさせてしまう。
 いっそのことトイレで抜いてくればよかったかもしれない。
 けれど、学校の最中に自慰などすれば、後ろめたさでもう綾の前には出られないような気がした。それに、男子
としてのプライドもある。
 幸い、汗を流している内に雑念も払われたようで、昼休みが終わる頃には健二は平静を取り戻していた。良太も悟も
反撃に燃えているし、クラスメートの男子たちも応援に熱が入る。
「な、なんだよ、それ……」
 コートで対峙して、健二の口から戸惑いが洩れたのは、茜の格好だった。
 鮮やかなブルーのユニフォーム。バスケ部が練習試合などで使うユニフォームに、茜は着替えていたのだ。
「いいでしょ、別に。何着たって変わらないんだから」
 しれっとはねつけて、茜は担任の教師に向き直る。
「汗かいてしまったので着替えたんですけど、だめですか?」
「……うーん、ロングホームルームでも授業だからね。本当は部活動と混同してはいけないんだよ。まあ、汗かいた
のなら仕方ない。だが高橋、おまえと原村はバスケ部だからいいが、二宮は……?」
「私の使っていない方を貸したので大丈夫です」
「綾ちゃーん、早く出てきなよー」
 千明が呼びかけると、体育館の入り口の陰、更衣室の方から綾が恥ずかしそうに姿を現した。
 おおっ、とクラスの皆がどよめく。
 体操服のブルマのように、太ももが露わになることはない。お尻のラインもズボンが大体隠してしまう。
 しかし、胸元と腋が大きく開いて、上半身はかえって露出が多いのだ。特に綾のようにスタイルが良いと、むきだしの
肩からの二の腕や、僅かにほの見えそうな胸の谷間が眩しい。さらに生地が体操服より薄いせいか、胸の膨らみが
一層扇情的になっていた。
 ごくり、と健二は生唾を飲んだ。
 男子たちのほとんどが同じ反応を示したに違いない。試合に向けて駆り立てていた女子への敵対心が、みるみる
萎んでいくようだった。
 バスケのユニフォームがエロティックであるというだけではない。
 体操服なら普段から何度も見ているが、この格好の二宮綾は誰しもが初めてなのだ。
「ね、ねえ、……おかしくないかなあ……」
「ぜーんぜん。よく似合ってるよー、すっごくかわいいよっ」
 健二はようやくに振り払った雑念など束の間、再び欲望の淡い火でちろちろと炙られて、頭が真っ白になって
しまっていた。
「じゃあ、始めましょうか」
 笑みを含んだ茜の声。それが合図だった。

468 名前:バスケ(後)[sage] 投稿日:2009/11/09(月) 10:05:09 ID:kxIOiTlY
 男子チームの攻めで試合は再開される。
 悟が千明にボールをパスし、それが投げ返されたところでゲームスタートだ。
 男子チームにはもう後がない。ここで1点取っておかなければ勝ち目がほとんどなくなってしまう。
「いくぞ!」「「おう!!」」
 気を取り直すようにかけ声して、素早くパスを回していく。
 一方の女子チームはしっかりとゴール前を固めていた。
 茜と千明が左右に、少し下がって真中に綾がいる。
「…………」
 その姿を視界にとらえるだけで、健二は集中力が乱れ、足が止まりそうになるのを感じた。
 両手を前に突き出し、へっぴり腰気味に踏ん張る、なんとも不器用なディフェンスだが、健二にはあれが抜けそうな
気が全くしない。
 それでも、勝つためには綾のところまで行かなければならないのだ。茜と千明のディフェンスを抜いてシュートが
決められるのは健二しかいなかった。
 じりじりと距離を縮めていく男子チーム。
 焦れて女子が守備隊形を乱すのを待つ作戦だ。今までにもバスケ部の男女混合試合で気づいていたが、千明はこういう
ときに我慢しきれず飛び出す傾向があるのだ。
 かくして、予想通り千明は引っかかった。
 良太が悟へパスを送ると、猛然と千明がカットに飛び出していく。その穴を埋めるように茜も動く。
(しめた!)
「悟!」
 完全にフリーになった健二ががら空きのゴール下へ走る。ロングパスを受け取り、ドリブル。
 歓声があがる。女の子たちの甲高い悲鳴も。
 綾は通せんぼするように前に出てくる。その表情は緊張で張り詰めていた。
 ドリブルを続けながら、最短距離でシュートができるポイントを探す。俯き気味に、綾の方を見ないように。なんて
ことない女子部員だと思い込もうとした。
 なんとも男子として情けないが、他に対策が思いつかない。
 だというのに。
「はぁ、あっ……ふぅ……あぁっ」
 艶めかしいため息が耳たぶをくすぐる。
 緊張しているせいなのだろう。綾はやけに息が荒くなっていて、それが妙に色っぽいのだ。
(なんだよ、おい。こんなの反則だろ……)
 なんでもエロく妄想してしまうのはこの年頃の男の子としては仕方ないことである。だけれど、それがこのような場面
では、健二にとって歯痒い思いしかない。
 背筋がムズムズするような感覚をおぼえ、耳たぶが熱くなっている。
「あ、はぁ……あぅ、んっ……あ、あっ、ふぅ……」
「…………っ!」
 綾の吐息に耐えられなくなって、強引に振り切ろうとした、そのときだった。
「やあぁっ」
 そんな喘ぎのような声をあげて綾が仰け反る。拍子に、健二は一瞬だがしっかりと、見てしまった。
 めくれて胸元がくつろいだユニフォームから、ピンク色の可愛らしいブラが覗いたのだ。
 少女の発育中の果実を優しく包む下着。
 男子なら誰もが憧れるそれを、決して忘れまいとするかのように網膜は焼きつく。
 そして、完全に意識はそちらに向いてしまっていた。
「あ……」
(やべっ!)
 とっさにボールを拾い上げたものの、ドリブルが止まってしまったのである。
 クラスメートたちもどよめく。一気にシュートを決めるかと思われた健二がこんな些細なミスを犯したのだ。 
 まだボールは健二の手にあるが、ダブルドリブルになってしまうためにこれ以上動けない。
 誰かにパスするか、この位置からシュートするか。
 しかし、良太も悟もしっかりマークされていて、パスを受けられる体勢ではない。
 少し遠いが、ここで決めるしかない。健二は一つ深呼吸して、ゴールを見つめた。
(いける!) 
 少し膝を屈め、シュートの体勢に。
 綾はどうしてよいかわからないというように、腕を大きく伸ばして妨害しようとするだけだった。
 なるべく彼女の方を見ないように、あの荒く艶めかしい息遣いもシャットアウトして、ゴールだけに集中する。
 いつも通り、毎日練習している通りにやればいいのだと言い聞かせて。

469 名前:バスケ(後)[sage] 投稿日:2009/11/09(月) 10:06:27 ID:kxIOiTlY
(う)
 そうして、溜めた力を解放するように全身を伸ばした瞬間。股間に違和感が走った。
「ああっ」
 なんとも情けない声をあげて、健二はボールを放してしまう。
 へなへなと舞い上がったボールは、ゴールの縁に当たって跳ね返る。男子たちから落胆の、女子たちから安堵の
ため息が聞こえた。
 だが、今はそれどころじゃない。
「綾、リバン!」
「あ、……う、うんっ!」
 リバウンドを捕ればまだ好機はある。逆に捕られれば大ピンチだ。
 良太と悟、それに、茜や千明も駆けてくる。しかし、健二たちの方が近い。そして、さすがにバスケ部で、
綾より速く、健二は動いていた。
(く、くそっ)
 健二はまた顔をしかめた。股間の違和感。勃起したペニスがトランクスの中で動きを邪魔するのだ。綾の色香に
魅入られた代償として、彼自身の身体が彼を裏切っていた。
 さっきのシュートでも、包皮から僅かに顔を出した亀頭が擦れて、健二はバランスを崩してしまった。
 狡猾な少女の罠に嵌められ、恥ずかしさと悔しさに煮えくりかえりながら、ボールを追う。


 健二と綾はほとんど同時にボールを捕らえた。
 なんといっても男子の方が力は強い。健二は女子への配慮も、相手が綾であるという気遣いも失って、無茶苦茶に
ボールをねじ捕ろうと力をこめる。
 けれど、綾も負けてはいなかった。
 ぎゅっと抱きしめるようにボールにしがみつく。そして、柔らかく早熟な身体が健二の胸に飛び込んできた。
「う、うああっ」
 二人はそのまま倒れ込んだ。
 綾は全くそんなつもりなどなかったに違いない。けれど、健二にとってはずっと間近で見せつけられ、生殺しに
され続けていたのだった。
 むせ返るような熱く甘ったるい女の匂い、幾度も妄想した豊満な肉体。
 ムッチリとしたお尻が股間に押しつけられて、健二は危うく果てそうになった。

 ピーーーッ

「ストップ、ストップ」
 さすがに見かねて教師が駆けこんできた。
 健二はともかく、相手は綾なのだ。優しく穏やかで、運動の苦手な少女である。ボールの取り合いになったときも
すぐに手を放すだろうと楽観していたのだが、思わぬガッツを見せて慌てさせられた。
 彼らのチームメイトも駆け寄ってくる。
「二宮、怪我はないか?」
「……だ、大丈夫です」
「交代した方がいいんじゃないか?」
「大丈夫です!」
 ゆっくりと起き上がる綾を茜と千明が支えた。
「ナイスガッツだよ、綾ちゃん!」
「うん、ありがとう」
 少し誇らしげに綾は頷き、ボールを抱きしめた。女の子たちの歓声があがる。 
「綾、千明、ここでトドメさしちゃうよ!」
「らじゃー!」「うん!」
 試合再開のホイッスルが鳴る。
 茜が健二にボールを送り、それを返す。
「ねえ、健二」
「ああ?」
 他の誰にも聞こえないような声で、茜はささやく。
「そこ、膨らんじゃってるよ? 試合中に何考えてるの? ヘ・ン・タ・イ」
「…………っ」
「あんたこそ交代した方がいいんじゃないのぉ?」
「う、うるせえよ!」
「ふふふっ♪」
 だが、もうほとんど試合にならなかった。

470 名前:バスケ(後)[sage] 投稿日:2009/11/09(月) 10:07:22 ID:kxIOiTlY
「そーれっ♪」
 バレーボールみたいなかけ声で茜は綾にパスする。
 ゆっくりと山なりで捕りやすいパスだ。普通なら敵チームはいくらでもカットできそうな。
 良太と悟がボールを奪おうと殺到する。しかし、明らかに出遅れていた。息も切れ切れで動きが悪い。
「千明ちゃん、えいっ」
 そうしているうちに綾へ渡り、すぐさま千明へとパスが送られる。再び走る男子たち。
「茜ちゃん、パース♪」
 茜へ。千明へ。綾へ。再び千明へ。茜へ……。
 そのたびに男子たちは右往左往させられ、徐々に足元さえおぼつかなくなってゆく。
 啖呵を切った健二だが、綾の身体の、お尻の感触が残ってまともに走ることもできない有様だった。
 良太と悟ではバスケ部女子二人の相手ではない。
 もてあそばれ、なぶりものにされて、動けなくなるまでスタミナを削られていった。
「ほらー、良太くん、しっかりー」
「やーん、惜しいー。がんばってー」
 ひどいのは見ている女子たちが男子チームを応援しだしたことだった。
「悟くーん、遅れてるよー。陸上部でしょー」
 揶揄するような、からかうような歓声が飛び交う。
 最初のうちは他の男子たちも憤激して声を張り上げていた。しかし、ほとんど一方的な展開になってしまうと、
彼らもうつむいて黙り込むしかなかった。
 そんな公開処刑は、男子チームが動けなくなり、綾が初めてのシュートを決めるまで続いた。
 その後一カ月ほどはクラスの男子は女子に頭が上がらなかったようである。


 そして……。
「う、くぅ……」
「おい、どうした、健二」
「す、すいません、先生。ちょっとトイレ行ってきます」
「またかよ。最近おかしいぞ。大会も間近で、スタメンのおまえがしっかりしてくれないとな」
「スイマセン、すぐ戻ります」
 慌ててトイレに駆け込む健二は何故か前屈みだった。
「く、くそぉ……なんで、なんで、こんな……」
 個室に入り、ズボンとトランクスを下す。半ばほど包皮を被ったペニスが勃起していた。
「う、ううぅ……」
 あれ以来、綾とまともに顔が合わせられない。だというのに、綾は少しスポーツへの劣等感が拭われたせいか
活動的になって、健二にも積極的に話しかけてくるようになった。
 そのことは悩ましいが、まだ嬉しい部類の変化だ。
 けれど、彼女の身体の感触はバスケに結びついて思い出され、そして茜たちから受けた侮辱的な仕打ちも共に
蘇ってくるのであった。
 それは部活中、バスケットボールの練習中に、突然健二を襲う。
「ああっ、ああああ……」
 そのたびに健二は前屈みでトイレに走るのだった。女子バスケ部からの蔑むような視線を感じながら。
 佐藤健二の「不調」はさらに半年ほど続いたようである。 

  • 最終更新:2014-08-22 19:09:23

このWIKIを編集するにはパスワード入力が必要です

認証パスワード