魅惑の皇后 第四話(1/2)

581 名前:魅惑の皇后 第四話(1/20)[sage] 投稿日:2008/07/15(火) 21:20:54 ID:mL0CRv5Q
一本の蝋燭が灯り、薄暗い部屋を少しだけ明るくさせる。
壁に映る二つの影法師は、激しく絡め合っていた。
部屋の中で、若い二人の男女の粗い息遣いや喘ぎ声が途切れ途切れになって、
韻事を進める情緒をもたらしてくれる。
灯りの前で、二つの熱っぽい肉体がこすれ合う。
お互いのぬめった性器から、いやらしい水音が聞こえる。
やがて、男女の声は徐々に高まり、動きも一段と速くなった。
くぐもった呻き声が起きると、部屋の中は再び静寂に戻り、
ただ事後の乱れた呼吸音が残るのみとなった。

シャロスはベッドに横たわり、息を大きく吸ったり吐いたりしながら、
ぼんやりと側にいる裸の少女を見つめた。
彼女の白い頬はいまだに火照りが残り、潤んだ瞳の奥で官能を誘う情熱が籠る。
メイドのカチューシャが無い今、美しいロングヘアはさらさらと両肩や美乳にかかっていた。
その柔らかそう皮膚の表面を綺麗な汗のしずくが付着し、
彼女の胸呼吸に合わせて乳から下へ滑り出る。

少女は無表情のまま身を起こし、まだ余韻に浸しているシャロスに寄り添った。
可愛らしい唇が、彼の口に重ねられた。
シャロスの意識は甘ったるい感触にかすみ、自然と相手のぬめりとした舌を口内に受け入れた。
ぴちゃ、ぴちゃという淫靡な音がしばらく続く。
少女が顔をあげると、二人の口の間に銀色の糸が引かれた。

その雰囲気を惜しむように、少女はゆっくりとシャロスのうなじに口をつけ、
彼の喉笛あたりをピンク色の唇でキスしながら愛撫した。
その気持ちよさに、シャロスは思わずまぶたを閉じて呻き声を上げた。
少女は彼の鎖骨に接吻し、胸にある乳首を軽くかじって、そのまま優しくしゃぶる。
魂を削られたような感触に、シャロスは快楽の嘆声を唸った。
艶かしい舌はすべすべしたお腹を舐め過ごし、やがて射精したばかりの一物の先端に吸い付いた。
シャロスのベニスは、彼の精液や彼女の愛液にまみれていた。
少女は顔に降りかかる髪を手で耳の後ろにかきわけ、
シャロスの一物のまわりをじっくりと舐め取り、そして中に残る残滓をすすった。
彼女の念入りな動きが、シャロスの疲れ果てた体を徐々にほぐしていく。

(エナ……)
心の中で相手の名前を呟きながら、疲れ果てたシャロスは昏睡状態に陥った。

エナの処女を貫いてから、速くも十日間が過ぎた。
その間、シャロスはほぼ毎日、彼女と性行為をしてきた。
彼がその気を少し持っただけで、エナはすぐに彼の内心を見通してくれる。
そして彼女の気遣いの良さや従順さもまた、シャロスの欲望を助長してきたのだ。
今のシャロスにとって、彼女はもはや無くてはならない存在となった。

しかし、シャロス自身はこの状況は良くないと知っていた。
結婚相手以外の女性と不純関係を持つことは、倫理の上では不当なことである。
権力者にとって、これぐらいの色事は大したことじゃないかもしれない。
だが立派な王様を志すシャロスにしてみれば、それは彼の信念とぶつかる問題であった。
しかし、だからといって、シャロスは今更エナを手放すことはできなくなった。
血の気が多く、思春期である彼にとって、
一度味わった女の瑞々しい肉体を、そう簡単に頭から消せない。

582 名前:魅惑の皇后 第四話(2/20)[sage] 投稿日:2008/07/15(火) 21:21:36 ID:mL0CRv5Q
朝、シャロスはゆっくりと目を覚ますと、側から心地よい声が聞こえてきた。
「王子様、おはようございます」
エナは普段通りのメイド装束で、恭しく寝台の横で侍っていた。
彼女の白玉のような綺麗な顔立ちには、昨晩の乱れた痕跡が一切なく、無表情のままになった。
シャロスはその表情を見る度に、プライドが酷く傷つけられ感じになる。
まるでそれが、「あくまでリテイア様の命令でセックスしているだけ」と物語っているようだった。
彼女の奉仕は全てにおいて、今までどんな侍女よりも優れている。
しかし、その完璧に近いところが、かえってシャロスに歯痒い思いをもたらす。


「レイラ隊長、夜の巡回、お疲れ様です」
「ありがとう、ファロア。今日の警備担当は、あなたの班だったわね。
 今日も一日、護衛の任務を怠らずがんばってね」
「はい!」

ファロアと呼ばれた先頭の女剣士はきりっと一礼をすると、軽装備をした女性隊員達を率いて、その場から去った。
彼女達の姿が見えなくなると、レイラは小さくため息をついた。
朝の太陽は空をのぼり、朝風が心地よく宮殿全域を吹き巡る。
しかし、彼女はそれを感じる気持ちが少しも無かった。

最近の巡回で、シャロス王子からは彼の寝室に近づかないよう、きつく命令された。
小さい時から王子の身近に仕えていた身として、どこか寂しく感じる命令であった。
それでも、レイラはシャロスの命令に従った。
(殿下はもうすぐ成人する御身。それに、世間でも言うじゃない。ちょうど今が自立心が強くなる年頃だって)
レイラはそうやって解釈をした。
しかし、女特有の鋭い勘からして、理由はそれだけじゃないのでは、という疑念は確かにあった。
彼女はうすうすといくつか心に残るような形跡を感じたが、それを無理やり心中に押さえ込んだ。

「どうしたんですか、レイラ隊長」
兵舎の食堂まで来ると、一人の小柄な女剣士がレイラに近寄った。
レイラは彼女から水を盛ったコップを受け取り、感謝の言葉を告げる。

「ありがとう、ナリア。昨晩の巡回で夜風を受け過ぎたか、ちょっと頭が痛くてね。
 ところで、あそこの集団は何をやっているのか、私に教えてくれないかしら」
レイラは喉を潤わせながら、むこうにあるテーブルで何やら喧騒する一団を見つめた。
十数人もの女性隊員が、一つのテーブルを囲んでいた。
そのテーブルの両側に二人の若い隊員が座り、お互い片方の肘をテーブルにつき、手を握り合っていた。
どうやら、腕相撲を始めようとしている模様だ。

小柄な隊員はニコッと微笑み、
「サネットとフェリッサですよ。どっちのほうが腕力あるか!という話になって、それで腕相撲で勝負しようと……」
「はぁ、相変わらず元気だね」
レイラは苦笑を浮かべた。
女性隊員とはいえ、ここにいるのはみんな情緒が明るい若き兵士達。
娯楽とは無縁な彼女達にとって、こういった勝負事が特に盛り上がるのだ。

「レイラ隊長は、どっちが勝つと思いますか?」
「サネット」
「ええ?どうしてですか?うちの隊の中では、フェリッサが一番剛腕というのは
 みんな認めていることじゃないですか」
「なんなら、賭けてみる?もしサネットが勝ったら、今日午後のナリアちゃんの訓練相手、私がやるわ」
「えー、そんな……」

583 名前:魅惑の皇后 第四話(3/20)[sage] 投稿日:2008/07/15(火) 21:22:12 ID:mL0CRv5Q
レイラは普段から上官のような威張った態度を取らず、常に隊員のことを考慮する優しい隊長である。
そのうえ剣の腕は確かで容貌も凛々しく、みんなが憧れる人気高い隊長である。
だがその代わりに、訓練時のレイラほど恐ろしいものはない。
彼女に直接指導してもらうことはもちろん有益ではあるが、
自分がヘトヘトになるまでやらされることを考慮すると、小柄の隊員は少しためらった。

ナリアはサネットとフェリッサを見比べながら、意を決して口を開いた。
「分かりました。では、もしフェリッサが勝ったとしたら……」
「ショートケーキをおごってあげるわ」
「本当ですか?」
ナリアは嬉しそうに丸い頬っぺたを抱え、随分前におごってもらった甘い味を想像した。
しかし、彼女はすぐにハッとなり、
「隊長は、どうしてサネットが勝つと思うのですか?
 普通に考えたら、フェリッサに決まってるんじゃないですか」

「だからだよ。サネットは負けを承知して意地に走る人じゃないわ。
 みんなが認めていることをあえて挑もうというのなら、何か秘策があるに違いないわ」
レイラはコップの中身を飲みほし、
「今回もきっと、サネットからいろいろ挑発して、フェリッサをうまく口車に乗せたであろう」

ナリアは大きな瞳をパチパチさせた。
「驚きましたよ。隊長はまるでさっきからここにいるみたいです。全部、隊長の言ったとおりですわ」
彼女が言っている途中、テーブルの方で勝負が開始したのか、二人の隊員が腕に力を込めはじめた。

数秒もしないうち、赤いハチマキで髪の毛をまとめた少女が優勢に立った。
彼女は相手の腕を反対側へぐいぐいと押してきた。
周囲の隊員達はあるいは応援を、あるいは野次を飛ばして、その場を盛り上げた。

ハチマキの女性は不敵な笑みを浮かべ、言葉を発した。
「ほらどうしたの、サネットさんよ。大口を叩いたわりに、大したことないじゃない」
「ふっ、笑止だわ。これぐらいで勝ってる気分になるなんて……まだまだお子様だね」
ブロンドの少女は腕をガタガタ震わせながらも、気丈な表情を見せていた。

「ふん、強がりやがって。いいわ、一気にかたを付けてやる!」
ハチマキの少女が強気を見せると、腕でいきなり押しかかった。
それを機に、周囲の声援が高潮を迎えた。

「ところで、フェリッサ。ちょっと、尋ねたいことがあるんだけどさ」
「なんだ?」
「あなたは今度、中央軍部の殿方に、ラブレターを出すんだって?」
「ぶはっ!」
フェリッサが大きく動揺している隙に、サネットは彼女の腕を反対側のテーブルにひっくり返した。

「はい、私の勝ちね。約束通り、今度の射的場に行くとき、おごって貰うんだから」
「てーめ、なんて汚い手を使いやがる!っていうか、誰がラブレターを出すんだよ!」
涼しい顔をするサネットに向かって、フェリッサは納得いかない様子で拳を握り締めた。

「私が聞いた話によると、なんでも最近軍部のほうで活躍している青年将校の……
 ホーラフさんだっけ?に、手紙を出すだって」
サネットの一言に、周囲の女性隊員たちがざわめいた。

584 名前:魅惑の皇后 第四話(4/20)[sage] 投稿日:2008/07/15(火) 21:23:06 ID:mL0CRv5Q
「えー?ホーラフ?」
「あのホーラフだって!」
「だれだれ?その人は」
「知らないの?最近軍部でもっとも注目を集めている三人の若い将校の一人だよ。
 なんでも、シャロス王子様から騎士の勲章をもらったんだって」
「そうそう。武勇に長けるホーラフ、知略に長けるエンルード。そして文武両道のドスラット」
「すごーい!シャロス様からじかに認めてもらえるなんて」
「へー、そのホーラフという人に、フェリッサが……」

まわりの反応を見回し、フェリッサは狼狽した。
「ちょ、ちょっと、違うって!あたしはただ、あのホーラフとかいうやつが腕が立つと聞いて、
 挑戦状みたいのを出したいなーと思って……っていうか、
 あたしの好きなタイプは、どっちかというとエンルードだぞ」

「なるほど、近衛隊一の駻馬と呼ばれるフェリッサは、そういう男がタイプだったのか」
「た、隊長!」
側へ歩み出たレイラに気付き、フェリッサやほかの隊員たちは驚いた。

「ち、違うんです!わ、私はただ……」
「うふふ、いいのよ。宮殿近衛隊だからといって、恋愛を禁止している訳じゃないんだから。
 でも、そのホーラフに出す挑戦状というのは、やめたほうがいいわね」
レイラは後輩を諭すような優しい口調で言った。

「はい、すみません……私、そのホーラフという奴がすごく強いて聞いたから、つい熱くなって……」
「まあ、負けず嫌いなのはいいことだ。お互い切磋琢磨して、競い合って。
 でも、私が挑戦状を出さないほうがいいと言ったのは、今のフェリッサの実力では、ホーラフ殿に勝つのが難しいからよ」

「それは、本当ですか?」
フェリッサは大の負けず嫌いであるが、彼女はレイラのことを誰よりも信頼していた。
レイラの否定的な意見を聞くと、フェリッサはがっくりと肩を落とした。

「三ヶ月前、私は用務があってスデラス将軍のもとへ行った時。
 偶然そのホーラフ殿とドスラット殿が訓練場で対戦しているのを見たわ」
レイラが静かに語り出すと、隊員達はみんな彼女の言葉に耳を傾けた。

「それで、どっちが勝ったんですか?」
ナリアは横から尋ねると、レイラは首を振った。
「その時は、引き分けだった。彼らはいずれも素晴らしい才能を持った剣士だ。でも、私の観察からすれば、
 ホーラフのほうが一枚上ってところかしら。彼の剣術のセンスは、特に輝いている物がある。
 数年経てば、おそらくホーラフは我が国において、誉れの高い剣士となるだろう」

「でも、うちの近衛隊だって負けませんよね?あいつとファロアなら、どっちが上ですか?」
「ホーラフが勝つでしょう」
「えー、そんな……」
隊員の中で、剣術が最も優れるファロアまで負けると聞いて、フェリッサ達は悔しい気持ちをあらわにした。
女性のみに組成された隊員達は、自然と男勝りの性格を身に付けていたのだ。

「でも、あえてあげるとしたら……そうね、サネットが一番勝つ可能性を持ってるじゃないかしら」
「私ですか?」
サネットはびっくりした表情で自分を指差した。
「ええ。臨機応変に富むサネットなら、もしかしたら運が傾けて、勝てるかもしれないわ」
「やった!ほらほらフェリッサ聞いた?これでもうはっきりしたでしょう。剣の腕前なら、あなたより私の方が上だわ」
サネットが嬉しそうに飛び上がり、フェリッサの膨れる頬を突いた。

585 名前:魅惑の皇后 第四話(5/20)[sage] 投稿日:2008/07/15(火) 21:23:53 ID:mL0CRv5Q
「いいえ、剣の腕前ではありません」
「えっ、どういうことですか?」
「サネットが今みたいな妙策を成功させたら、何かが間違って勝てるかもしれない、ということだ」
「そんな……レイラ隊長、ひどいですよ」
サネットが困った表情になると、フェリッサをはじめほかの隊員達は笑い出した。
レイラのおもしろい語り口は、いつも彼女達を笑顔にしてくれる。

「知ったか、サネット。レイラ隊長はあえて言わなかったけど、
 お前が実力で勝てるようにもっと真面目に練習しろ、という教示だぞ」
「フェリッサに言われたくないわ。それに、勝てるのなら、どんな手段を使ったっていいじゃん」
「なまいきな!」
「フェリッサこそ!」
二人が言い争いを始めると、レイラはまたかという苦笑を浮かべた。

サネットは腕を組み、クールな表情を作った。
「ふん、フェリッサはこれだから。まぁ、いつまでも子供のままで、幸せだからいいけど」
「ちょっと、どういう意味なのよ!」
「別に。……ただ仲間として親友として、このままフェリッサが自分を磨かないと、
 将来は苦労するんじゃないかなと心配してさ」
「なんだと?」
「いつまでもガキみたいでいると、いい男が好きになってくれないわよ」
「余計なお世話よ。あたしだって、色気を出そうと思えば、できるんだからね!」
「はっはぁーん。その小さな胸を張ったところで、何の説得力も無いんだけどね」
「ううぅー!」
かなり痛いところを突かれたのか、フェリッサは言葉がつまり、頬を膨らませた。

宮殿近衛隊は女性のみで成り立つため、異性と交際するチャンスはなかなかできない。
そのため結婚年齢になると、今までの功労を認められ、
王室が主導して良家の男性と結んで、退役するのが暗黙の慣例となっている。

それは王室近衛隊の特権に近いものである。
とはいえ、全てうまく行く保証は無いので、いつまでもお転婆娘のままでは、お見合い相手すら見つから可能性も出てしまう。

「それを言うなら、サネットだって……!」
「ふふっ、それはどうかしら」
サネットは得意げに胸をはった。
「私なら、いつも殿方に惚れられるよう、いろいろ気を使っていますもの。
 スタイル良し、顔良し、性格もよし。こんないい女は、なかなかいないですわ」

サネットは深窓の令嬢を真似て、手の甲を口元に当てエレガントを装った。
まわりの隊員達はその仕草に笑いながらも、それを認めるしかなかった。
性格良しは別としても、サネットはなかなか見当たらない上質な美女である。
「そんなこと言っちゃって!うちの隊で一番の美人というなら、レイラ隊長でしょう」
「えっ?」
まさか自分が話題になると思わなく、レイラは戸惑った。

「うっ……そ、それは!……確かに……」
「そうですよ、私達の中で一番速く結婚するとしたら、レイラ隊長ですわ」
ナリアが一言に、サネットを含めて隊員達は一斉に頷いた。

「ちょっと、結婚だなんて……私、まだ全然考えたこと無いわ」
「レイラ隊長は、一体どうやってそのようなプロポーションを保っているんですか?」
「私は、そういうのは今まで気にしてないわ」
レイラは照れくさそうに頬をかきながら答えた。
彼女のさりげない一言に、尋ねたサネットはショックを受けてしまう。
「そ、そんな……」
サネットは羨ましそうにレイラの体を見渡した。

586 名前:魅惑の皇后 第四話(6/20)[sage] 投稿日:2008/07/15(火) 21:24:31 ID:mL0CRv5Q
「レイラ隊長みたいなお方は、将来きっと素敵な出会いが待ってるのに違いありませんわ」
ナリアは瞳をキラキラさせながら言った。
「ははっ、そんな大層な……」
「そうだね、やっぱりシャロス王子様のような、素敵な男性じゃないと釣り合わないもん」
「こらっ、ナリア!殿下になんという侮辱を」
「いやでも、私もナリアの気持ち分かるわ。
 殿下みたいな凛々しくて、立派なお方でないと、レイラ隊長はもったいないですもの」
「うんうん。でも、シャロス様以外で、あれほど素敵な男性はいるかしら」

「もう、あなた達には、付き合え切れないわ。
 ほら、昼飯の時間が終わったら、あなた達をきつく訓練してあげるから、覚悟しなさいよ」
「「はーい」」
隊員達は明るく返事し、残りの時間をくつろいだ。
レイラはやれやれといった表情を作るが、心底ではひそかに嬉しい気分が溢れ出た。
だがそれは一体なぜなのかは、レイラには理解できなかった。


賢王の再来とも予言されるシャロスは、天成の治世家であった。
利害や問題点を一瞬で判断し、前例に無い手法を大胆に駆使する。
先王の急逝により招いた国はしばらく混乱が続いたが、それも彼の統治によって徐々に落ち着いたのだ。

しかし最近、エナと肉体的関係を持ち始めてから、シャロスは以前ほどの鋭い判断力が発揮できなくなった。
今日の昼前も、シャロスは今までに無かった焦燥感に責め続けられるのであった。

山のように積もる報告書の側、彼は悶々と座り続ける。
目線はただ報告書の上を走り、内容を短絡的に見通すだけだった。
股の下で一物が衰えることなく張り続け、彼の思考回路を邪魔する。

シャロスは精神を収集するが、淫らな思いは消えるどころか、体中に広まっていく。
エナとの天国をさまようような体験は、いつしか茨のように彼の華奢な心身を巻きつく。
その淫靡な光景を理性が拒んでも、悪魔のような欲望の声が耳元で響く。
ペニスが絶えずドクン、ドクンと脈打ち、シャロスをせめ立てる。
「くっ……」
シャロスはたまらず立ち上がり、外へと出かけた。

宮殿を囲んでいる大きな庭園は、建国以来の長き歴史を渡り、多くの園丁の手によって営んできた。
かなりの広さがあるため、シャロスは目的も無いまま歩いていたら、いつの間にか普段行くことの無い区域に出た。

「あっ、王子様!」

突然起きた黄色い声に、シャロスは背後を振り返えった。
すると、エナと瓜二つの顔立ちを持つ少女が視界に飛び込んできた。
「やっぱり、王子様だったんですね!」
元気一杯で、屈託の無い笑顔。
エナの双子の姉妹、マナというメイドであった。

「マナ!どうしてここに?」
「遠くから王子様のお姿をお見えになったので、
 こっそり後をつけました。それに、ちょうど私もこちらに用がありまして」
「ここは一体?」
「あれ、王子様は知らないで来たのですか?どうりでおかしいと思いましたわ。
 王子様のような高貴なお方が、私達のような下人が働く場所に来てくださるなんて」

587 名前:魅惑の皇后 第四話(7/20)[sage] 投稿日:2008/07/15(火) 21:25:02 ID:mL0CRv5Q
ふと、マナはずる賢い小猫のよう表情を浮かべ、いきなりシャロスの腕にしがみついた。
シャロスはその不意打ちに避けることができず、マナに抱きつかれてしまった。
服越しに感じる胸の柔らかい感触に、彼の顔はさっと赤めた。
エナとは何度か行為をしてきたが、基本的に彼は女性に対する免疫力が無いのだ。
その初々しいぶりを見て、マナはひそかにほくそ笑んだ。

「マナ……な、何をしている!」
「うふふ。こうしていると、王子様と恋人同士になったような気分になれるの……
 ねぇ、王子様は、私のことお嫌いですか?」

マナはシャロスの腕を自分の胸に擦りながら、潤んだ両目で彼を見上げた。
そのまるで小動物のような可愛らしい表情に、シャロスの心が大きく揺らいだ。
普段それと同じ顔つきの冷淡さを見慣れていたせいか、余計に色っぽく感じてしまう。

「こんなところで誰かに見られたら、大変なことになるぞ」
「ふふふ……じゃあ、嫌いじゃないのね」
マナはシャロスの股間に手を伸ばし、その上を軽く撫でた。
たったそれだけの行為で、シャロスの体がビクンと動いた。
彼が顔を真っ赤に染めるのを見ながら、マナはけらけらと笑った。
「王子様のあそこ、ビンビンじゃない。こんなお昼からお盛りになるなんて……エッチなことで、頭いっぱいなのね」
「そ、それは……」
マナに痛いところを突かれたシャロスは、思わず顔を俯いた。

「私はこれから用事があるので、ある場所に行かなければなりません。
 王子様も、私と一緒に行きませんか?そこなら、誰にも見られませんわ」
マナは挑発的な笑みで、シャロスを見上げた。
その言葉の裏にある淫らな意味が、シャロスの心をくすぐった。
聡明だったはずの意識も朦朧となり、思わず頷いてしまった。

マナはもう一度かわいらしい笑みを浮かべて、彼に体をくっつけたまま歩き出した。
シャロスは自分の優柔不断を責めながらも、腕を引かれるまま進むしかなかった。

しばらくすると、二人は庭園のはずれに位置する古ぼけた楼閣へやって来た。
「ここは、いわゆる倉庫ってところですわ。まあ、王子様には、目にするどころか、聞いたことも無いでしょうね」
マナはシャロスの疑問の表情を察すると、解説を加えた。
中へ進むと、そこはシャロスが住む御殿よりずっと簡素なつくりであった。
飾り気のない廊下を通り過ぎながら、所々いろんな備え付けの品物が積まれているのが見える。
両側にいくつもの部屋があるが、中には万年使う機会が無いのか、蜘蛛の巣や塵で汚れた扉もあった。
高級生活に慣れ親しんだシャロスにとって、それはそれで新鮮な光景だった。

横から五つ目の部屋の前へ来ると、マナはその扉をあけ、シャロスを中へ連れ込んだ。
奥のほうには数多くの木箱が積まれ、窓の光を遮っていた。
そこでマナは扉をしめると、薄暗い空間に、ただ二人の男女が残されるのみとなった。

神秘な静寂に包まれる空気の中で、シャロスはわけもわからず心を高鳴らせた。
しばらく目が慣れると、彼は部屋中の様子を観察した。
いくつかのテーブルや椅子が、無造作に並べられている。
横には羊毛で編まれた高級絨毯が、柔らかそうに何枚も重ねられていた。

マナは鼻歌をうたいながら、悠然とした表情で一つの椅子に座った。
しかしシャロスはどうすればいいのかさえ分からず、ただ立ち尽くすしかなかった。
その困惑した立場を解消するために、彼は腹の中で言葉を捜し続けた。

588 名前:魅惑の皇后 第四話(8/20)[sage] 投稿日:2008/07/15(火) 21:25:27 ID:mL0CRv5Q
「……ここは、どこなの?」
「宮殿に置かれている物って、いつか壊れるんじゃないですか。そのために、ここで備品を蓄えているんですよ」
マナは軽い口調で答えながら、熱そうにメイド服の襟ボタンをはずした。
シャロスは瞬時に顔を赤らめ、彼女から目線をはずした。
そのはにかむ仕草を見て、マナは微笑んだ。

「でも、ここでの取り出し作業は、そんなに頻繁ではないのです。
 むしろほかの目的のために、良く使われているのかしら」
「ほかの……目的?」
「はい。逢引き、なんですよ」
「あいびき?」
聞いたことも無いワードに、シャロスは首をかしげる。
その様子を見たマナは、おかしそうに笑い出した。

自分がバカにされたようで、シャロスは憮然とした。
マナはそんな彼の心情を察したのか、すぐに謝った。
「ごめんなさい、今のは私が悪かったですわ」
「ふん、別に……」
シャロスはそう言って顔をそむけるが、突如マナが彼を壁際に押さえ付けた。

「何をするつもりだ」
「もう、そんなに怒らないで、王子様。マナは、王子様に良くしたくて、ここにつれてきたのです。
 お詫びと言ってはなんですが、これからは王子様はマナと、逢引きをしてみませんか」
マナは顔に柔和な表情を掲げ、軽やかな声で囁いた。
その女らしい仕草を受けて、シャロスの怒気は一気に和らいだ。

彼女はその華奢な体を軽くシャロスに押し付け、彼の両手首を掴んだ。
不思議な事にシャロスは彼女の無礼を咎める念頭は、なぜか思い立たなかった。
それどころか、体が密着することによって、彼女を可愛いと思う気持ちが段々と大きくなった。

時には悪戯っぽく、時には皮肉っぽく、時には優しく変化する彼女の態度は、まるで掴み所が無かった。
しかし、その変わりやすい性格がまた彼女の魅力であった。
そんな憎めない彼女をいつの間にか好きになった事に、シャロスは気付かなかった。

彼はつとめて不機嫌そうな顔を装った。
「お前はエナと顔はまるっきり同じなのに、中身が全然違うんだな」
「ふふふ、それは当然ですもの。私とエナは物覚えを始めたときから、別々の環境に分けられ、
 リテイア様やフシーさんに厳しくしつけを受けました」

「フシーさん?」
「はい、彼女は私達のメイド長で、私達にとってリテイア様の次に偉い人なの。
 もっとも、リテイア様に仕えるメイドは、みんな彼女のしつけを受けるけど」
「そうなのか?」
「はい。あの女だけは、私も苦手なのよ。王子様も注意してね。王子様のようなかわいい男の子が彼女の手に堕ちたら、
 どんなふうに調教されることや……あっ、それもそれで見たいですわね」
シャロスはマナの言葉を半信半疑に聞きながら、彼女はその人物が好きじゃないということを理解した。

「皇后は、一体なにを狙っている?」
「なんのことでしょうか?」
「とぼけるな。エナやお前を私に近づかせたのは、何か目的があるだろう」
「そんなの、言いがかりですわ。私はただ、王子様に気持ちよくなってもらいたくて」
「なにを……むぐっ!?」
マナは彼の抵抗しようとする両手を抑え、その口の上に潤んだ唇を重ね合わせた。

589 名前:魅惑の皇后 第四話(9/20)[sage] 投稿日:2008/07/15(火) 21:26:00 ID:mL0CRv5Q
シャロスの瞳はぼんやりととろけ始めた。
少女の柔らかい唇は積極的に彼にしゃぶり付き、なめらかな舌を進入させて絡ませる。
それと同時に、彼女はシャロスの股間に膝をあてがった。

「むむっ!」
今まで悶々としてた場所が、それを機に燃え上がった。
マナは彼の首に手を絡ませながら、太ももを使ってゆっくりと両足を開かせる。
たちまちシャロスの体から抵抗しようとする意思が消え、マナに身をゆだねてしまった。

しばらく経った後、マナはようやくシャロスから顔を離した。
シャロスは全身を火照らせ、ぼんやりとした表情でマナを見つめる。
マナは両手で彼の頬を抱き上げ、
「うふふ……王子様って、本当にかわいいわよね。まるで、女の子みたいだわ」
悪巧みの笑みを浮かべると、シャロスの股間を当てる膝に力を入れた。

「ああっ……!」
シャロスは思わず内股になった。
服の上から、マナはちょうどいい力加減で彼のあそこを挑発し、欲望を増大させた。
自分でもあそこが爆発しそうなぐらいに、血液が集中していくのが分かる。
気持ち良さのせいで足に力が入らなくなり、マナに押されるままズルズルと壁を滑って床に倒される。
マナはそのまま上を這い、柔らかい乳房の部分をシャロスの胸にくっつけ、彼の耳元で色っぽく囁いた。
「ねぇ、王子様。聞こえるでしょう?私の心臓が、ドクン、ドクンと鳴ってるの。
 王子様とこんな近くにいられるなんて、私すごく緊張してるの」

シャロスは耳元や股間から来る妖しい快感を耐えながら、懸命に理性を取り戻そうとした。
「で、でも……王宮内で、こんなふしだらなことをするなんて……」
「それなら、みんなやってるわよ。言ったでしょ、ここは宮殿の下人達がこっそり会う場所なの。
 宮殿内ではいろいろ厳しい規則あるが、ここなら人の目を盗んで、いろいろやらしい事ができるの」
「ど、どうしてお前がそんなことを知ってるの?」

マナは答えないままニコッと微笑み、シャロスの白いうなじに舌を這わせ、優しく舐めた。
湿った舌の滑らかさが一瞬のうちに通り過ぎ、シャロスの思考回路をショートさせた。
その恍惚になりかけた様子を見て、マナは会心の笑みを作った。
彼女はシャロスが見る前で、人差し指と中指をぴったりくっつけて、棒の形を作った。
そして挑発的な目線を送りながら、唾液をふんだんに含んだ口で指をくわえる。

シャロスは目の前の光景を見せ付けられて、胸が大きく揺らいだ。
マナは口をすぼめながら、白くて長い指を舐め続けた。
その先端を舌先でぺろりとくすぐり、その横を角度変えながら濡らし、そして根元まで口内に含ませる。
そしてしばらく唾を溜め込み、それを指の上につーっと垂らして、シャロスの瞳を見つめながら舌で唾液を舐め取る。
まるで自分のあそこが舐められているようで、シャロスは太ももをうじうじさせた。
彼女の柔らかい胸の鼓動を感じながら、シャロス自身の心も跳ね上がった。
相手の瞳の中に含まれた艶笑のようなものに、シャロスは屈辱のような感情を覚える。
それはまるで、見とれてしまった自分をあざ笑う物のようだった。

万人の上に立つ者として、これほど不甲斐無く思うことは無かった。
マナから目が離せない自分が悔しい。
一人の侍女にいいように扱われるのがもどかしい。
しかし、その悔しさやもどかしさの裏側に、かすかながら快感に近い感情があった。

590 名前:魅惑の皇后 第四話(10/20)[sage] 投稿日:2008/07/15(火) 21:26:36 ID:mL0CRv5Q
「ねぇ、王子様は気持ちよくなりたいでしょ?」
「そ、それは……」
「そうだったらそうで、ちゃんと『うん』とか『はい』とか言うのですよ。
 それとも、やめちゃってもいいかしら、王子様?」
「う、うん!」
「うふふ、いい子ね。じゃあ、これから私の言うことを良く聞いて。口をあーんっとあけてごらん」
マナは悪戯っぽい笑みを浮かべて言った。
自分とはそう違わない歳なのに、子供扱いされてしまったことが悲しかった。
しかし、それでもマナの言うことに逆らえず、シャロスは口を開いた。

「じゃあ、私のつばが一杯染みこんだ指を味わいなさい」
マナは透明な唾液で濡れた二本の指をシャロスの口内に入れ、彼に口を閉じさせた。

「ううむん!」
「ほら、舌をもっと使って、満遍なく舐めなさい。さっき私がどういう風に舐めたかを、思い出しながら」
マナに言われると、シャロスは仕方なく彼女の指に舌を絡ませた。
ぬるぬるした他人の甘い味が、口内に広がる。
それが目の前にいる悪魔のような美少女の物だと思うと、悔しくも股間の一物が意気地なしにも反応した。
そのささやかな変化を、マナは当然見逃すわけが無かった。

「ふふふ、私の指を舐めながらあそこをギンギンにさせるなんて……
 王子様って、ひょっとして変態さんなのかしら?」
マナはほくそ笑みながら、シャロスの口内で指をかき回した。
彼女の指に付着した唾液は舌に擦り付けられ、シャロスの口の中で香ばしい味が広がった。
シャロスは背徳感に責められながらも、犬になった気持ちで彼女の指をしゃぶり続けた。

しばらくすると、マナは指を抜き取り、シャロスの体から離れた。
シャロスは息を荒くしながら見上げると、マナの挑発的な微笑みと、彼女のスカートの中身が見えた。
太ももまで覆うスカートの中に、黒の下着の姿があった。
その黒い下着を、マナはゆったりとした動作で脱いだ。

シャロスは思わず瞳孔を大きく開かせた。
スカートの裾で見え隠れする中、女性の最も神秘な場所が生まれたままの姿を晒す。
形良く整えたアンダーヘアの下に、淫らな割れ目がそこにあった。
シャロスがもっと見たいと思った矢先に、マナは指でショーツをくるくるしながらその場から離れる。

彼女は小悪魔のような愛しい笑みを浮かべ、椅子に座って足を組んだ。
スカートの裾は重ねられた太ももの上でとどまり、彼女のアソコの様子が完全に見えなくなった。
その誘惑的な光景は、シャロスの欲情を大きく焦らした。

彼はその場から立ち上がり、自分の両手をどこに置けばいいのかさえ分からないほど慌てた。
「マ、マナ……」
「王子様は、マナのあそこを、もっと見たい?」
「う、うん……」
「ふふふ、嬉しいわ。でも、私だけアソコが裸で、王子様が服を着ているなんて……
 ちょっとずるいと思いませんか?」
「えっ?でも、どうすれば……」
「王子様にも、下の服をぜーんぶ脱いでもらおうか」

シャロスはうろたえた。
自分の部屋でもお風呂場でもない場所で裸になることは、もちろん抵抗がある。

「どうしたの、王子様。ひょっとして恥ずかしいのかしら?大丈夫ですよ。
 前にも、王子様は私に裸を見られていたではないですか」
マナの悠然とした態度を見て、シャロスは意を決してズボンを脱ぎ始めた。
躊躇はしたものの、結局下着まで全て脱いだ。
すると、熱くたぎったペニスが天井を向かっていきり立つ。

591 名前:魅惑の皇后 第四話(11/20)[sage] 投稿日:2008/07/15(火) 21:27:10 ID:mL0CRv5Q
「やっぱり王子様はあそこを勃起させていましたのね」
マナがシャロスのあそこを見てくすくす笑うと、シャロスは恥ずかしさで胸いっぱいになる。
上半身だけ服を着て、下半身が全裸に。
そして、メイドである少女に見られ、笑われる。
そんな状況に反し、一物が萎えるところが、ますます硬くなっていた。

「じゃあシャロス様、こっちに来て、私の前でしゃがんでごらん」
マナが手招きすると、シャロスは仕方なく彼女の前にやってき、膝を床に突いた。
少女は椅子の上にのぼると、両足を外側に開き、秘所が良く見えるように開かせた。
「ふふふ、どう?これが女のオマンコよ」
マナは腰を柔らかくしなやかせると、シャロスの顔面の前に、彼女の性器が晒しだされた。
今まで何度も性経験してきたが、こんな間近で女性の性器を見るのは初めてだった。
桃色の淫唇は、シャロスのまだ幼さが残る心に淫らな方向へ刺激する。
「ねぇ、私のアソコにもっと顔を近づかせて。それから、大きく息を吸ってごらん。
 そう、そうやってスーハーするの。どう、アソコの匂いは?すごくエッチで、いやらしいでしょ」
「う、うん……」

シャロスは茫然とした表情で、こくりと頷いた。
彼は言われるがままに、マナのアソコの前で息を繰り返した。
「うふふ……そうよ。そうやって、私の匂いが、王子様の脳の奥まで染み渡るように。
 その匂いを、よく覚えていなさい。これからはこの匂いを嗅いだだけで、あなたは私の言うことをなんでも聞きたくなるように」
まるで魔法にかかったように、シャロスは目を虚ろにした。
彼の恍惚な表情を見下ろし、マナは会心の笑みをあらわにする。

突然、扉が「ドン、ドン、ドン」と叩かれる音がした。
「……!」
シャロスは咄嗟に我に返り、その場で固まった。
「あ~あ、邪魔が入っちゃったね。王子様、何者かが来たようですわ」
「ど、どうすればいいの?こ、こんなところで見られたら……」

シャロスは顔色を青ざめた。
悪いことをしてしまった彼には、罪悪感のため逃げることしか考えられなかった。
しかしこの部屋は入り口の扉以外、封鎖された窓しかない。
「王子様、あそこの木箱の裏側に隠れてください。後ろは空きペースがありますので、そこでじっとしていてください」
「わ、分かった!」
「それと、これもお持ちになって」
マナはシャロスに黒い下着を手渡した。
「な、なぜこれを?」
「あははっ、途中でしたくなったら、それで私の匂いを思い出してね」

扉がもう一度ドンドンドン、と叩かれる。

マナは相変わらず緊張感の無い笑顔を作るが、今のシャロスにはそれを反論する余裕が無かった。
シャロスはショーツを握り、急いで木箱の後ろに駆け込んだ。
そこでしゃがんでから、シャロスはまだ下半身が裸であることに気付いた。
焦燥の表情で頭を出すシャロスに対し、マナは悪巧みの笑みを浮かべて、シャロスの服を反対方向の角へ投げ込んだ。
(あいつ、わざとやって……!)
シャロスは胸の中で怒りを焼くが、どうすることもできなかった。

マナはスカートを少し整えると、ゆっくりと扉のほうへ近づいた。
そして彼女の次の行動は、シャロスの予想を越えるものとなった。
彼女は、扉の外の人間と同じようなテンポで、扉を三回叩き返したのだ。
かすれるような軋み音とともに、扉がゆっくりと開かれる。

592 名前:魅惑の皇后 第四話(12/20)[sage] 投稿日:2008/07/15(火) 21:27:48 ID:mL0CRv5Q
シャロスは自分の心臓が口から飛び出すじゃないかというぐらい緊張した。
彼はただ、マナがうまく外の人間を言いくるめることを祈るほかなかった。
だがマナの行動から、シャロスは何かが変であることに気づいてしまう。

木造の床が軋み、一つの足音が近づいてくる。
シャロスは木箱を背にして座り、背中に冷え汗を流した。
「遅かったじゃない。私、ずっと待ってたんだからね」
マナの駄々をこねる口調は、シャロスを大きく驚かせた。
しかし、もう一つの声に、彼はさらにきょとんとなる。
「……すまない。スデラス将軍の軍議が終わったら、すぐここに向かったつもりだった」

(軍議……?)
聞き覚えのある声と、気になる単語。
危険な状況ではあるが、シャロスの好奇心が大きく膨らんだ。
彼は木箱の隙間に顔を近づけ、部屋の中央を見つめた。
椅子に座るマナの側で、鎧を装備した騎士が立ち尽くしていた。
やや動揺気味の様子ではあったが、女性の目を惹くようなかっこいい顔立ち。
その容貌を記憶の中で探り当てたとき、シャロスは思わず声をあげそうになる。
目の前にいる男こそ、最近期待を集める青年将校、スデラス将軍の麾下であるドスラットその人である。

――中央軍部で突出した才能を持つ三人の若者。
武勇に優れるホーラフ。
知略に優れるエンルード。
そして、武勇や知略の両方に長けるドスラット。
彼ら三人は、老将スデラスにも認められた人材である。
つい先日、騎士の勲章を受けたばかりで、今後の軍界を担う若武将として注目を浴びている。
そのドスラットが、一体どうしてここにいるというのか。

「例の物を、持ってきたかしらね」
「……ああ……」
マナの問いかけに、ドスラットはそっけなく答えた。
二人の間に流れる奇妙な空気に、シャロスは疑問を抱いた。

接する期間はまだ短いものの、シャロスはドスラットという人間を良く知っているつもりだ。
謙虚だが決断力があって、冷静だが決して怯まない。
そして歳が若いわりには、大局を見据える力が備わっている。
彼と軍事の問答をしている時、その核心に迫る見方が特に印象的だった。
そんな前途有望な若者が、一体何故侍女と接触するのか。

「どうしたの?あなたはそれを私に渡したくて、ここに来たじゃないの?」
マナの余裕綽々の態度とは対照的に、ドスラットはパッとしない面立ちであった。
彼は黙ったままふところから一つの書類を持ち出し、それをマナに手渡した。
マナは素早く書類に一通り目を通して、満足した表情でスカートポケットに入れた。

「うん、よくやったわ。さすが騎士さま、この中央軍部の作戦指針書の副本をとるのに、大変だったでしょ」
マナはただニッコリとしただけだが、聞いていたシャロスは驚愕の表情になる。
帝国五大軍は、五つの軍部によって統制され、その上国王が統轄するシステムとなっている。
軍事行動の実態、予算、今後の展望など数々の機密データを含む作戦指針書は、
この国の命運を握ると言っても過言ではない。
そして、今期の中央軍の作戦指針書は、まだシャロスの手元に届けられていないのだ。

中央軍統帥のスデラス将軍の側近であるドスラットなら、その書類をいち早く拝めることができるだろう。
しかしまさかをこんな形で、一介の侍女の手に渡っているとは、シャロスは夢にも思わなかった。

593 名前:魅惑の皇后 第四話(13/20)[sage] 投稿日:2008/07/15(火) 21:28:18 ID:mL0CRv5Q
「俺は、本当に許されるんだろうか。こんなことがもしばれたら……」
「何いまさら焦ってるの。もうずっと前から、やってきたことじゃない。
 今のあなたに残されてる道は、これからもうまくばれない様にやり続けることなのよ」
「お前は……まだ俺を利用し続けるというのか!」
「大丈夫よ。うまくやってくれたあかつきに、上の人間だってきっとあなたを認めてくれるわ」

マナはくすりと笑って、固まるドスラットに抱きついた。
彼女が言う「上の人間」はリテイア皇后を暗示していること、シャロスはすぐに感じとった。

マナはドスラットの唇に軽くキスしてから、ぐるりと体をまわして離れた。
「ねぇ、今はそんな物騒な事を気にするより、私といいことをしましょ?
 ふふふ、あなたの悩みを、全部忘れさせてあげるから」

少女はその歳にそぐわない妖艶な笑みを浮かべ、ゆっくりとスカートの裾を持ち上げた。
ドスラットはまさか彼女は下に何も着ていないと思わず、ビックリした表情になった。
彼がマナの体に触れようと手を伸ばすと、マナはくすっと笑って裾をおろし、妖精のように軽やかにかわした。

遠くから見ているシャロスでも、心がうずうずしてたまらなかった。
可愛らしいな顔立ちと放蕩な仕草。
メイド服の下にあるのは、青春の息が溢れる肢体。
そして、ひらひらと漂うスカートと、そこから見える陰部。
どんな生真面目な男性にとっても、食指を動かさずにいられない光景だろう。

マナは煽情的な笑い声をこぼし、誘うように体を躍らせた。
ドスラットはすっかりその虜になったのか、魅入られたような目付きで彼女を捕まえる。
「ははっ、騎士さまったら。いいわ、マナが気持ちよくさせてあげる」
そう言って、マナはドスラットの首に腕をまわし、口付けをした。
彼女のふしだらな行動にむっとしながらも、
シャロスはそのなまめかしい舌の動きを無意識のうちに想像してしまった。

マナの体はだんだんと柔らかくなり、遠くから見てもその顔が火照り出したのが分かる。
その色っぽいさまに、シャロスの股間の一物がそびえ始めた。
(くっ……そんな、体が勝手に……)
シャロスは思わず硬くなったペニスに指を添え、ゆっくりと弄りだす。

二人のほうから、いやらしいキスの音が断続的に聞こえてくる。
ようやく顔を離れたときに、マナは乱れた髪を整えて、頬を赤らめた。

「ねぇ、騎士さま。マナのことをよく見て」
マナはゆっくりメイド服に手を掛け、上着から脱ぎ始めた。
彼女の大胆な行動に、シャロスもドスラットも視線が釘付けとなる。
布が肌をかすめる音がしばらく続いた後、マナは今まで身につけていた物を全て脱ぎ捨て、
それから裸のままかたわらの織物の上に横たわった。

シャロスは今までずっと、淫らな女性はみんな不潔だと考えてきた。
しかし、目の前のマナの裸姿は、そんな彼の思いを覆した。
皓月のような白い肢体と、女性特有の柔らかい曲線。
それが横たわっている優美かつ官能的な光景は、絵画のように美しかった。
たおやかな乳房と、しなやかな腹部や臀部。
綺麗に整えた陰毛は、淫猥な光沢を跳ね返してくる。
マナはさりげなく腕があげ、背中をさすった。
彼女の滑らかな腋肌は優美に表現され、背中やお尻、太ももと並んで美しいラインを描く。

マナはけだるそうに両目を細め、含みのある笑顔を青年騎士に向けた。
騎士の緊張な面立ちとは対照に、彼女の表情は余裕に満ちていた。
その誘惑を含んだ余裕さは、男の欲望を更に煽る。

594 名前:魅惑の皇后 第四話(14/20)[sage] 投稿日:2008/07/15(火) 21:28:45 ID:mL0CRv5Q
「ねぇ、どうしたの?私と気持ちいいことをしたくないの?」
マナは潤んだ唇を開き、耳元で響くような心地よい声で言った。
その柔和な声を聞いただけで、シャロスの心が大きく動揺した。
甘くて恋しい感情がぼんやりと脳の中を広がり、彼女の言うことなら何でも従いたい気分になってしまう。

マナの間近に立つドスラットはその影響をより多く受けたか、何も言えずに彼女に近づく。
彼は震えた両手でマナに触れようとすると、マナはくすりと笑い出した。

「そんな暑苦しい鎧を着たまま、私とするというの?おバカさん」
「あっ、うっ、すまない……」
ドスラットは言われて初めて気付いたか、そそくさに鎧をはずし始めた。
しかし、あまりにも慌てているせいか、金具をはずすのに何度も失敗した。
彼のぎこちない手つきを見て、マナは更に笑い出した。

「うふふ、騎士さまなのに、まるで新兵みたいじゃない。
 いいのよ、落ち着いて。ここには私達以外に誰もいないんだから」

ドスラットは顔を真っ赤にさせて、何か反論することもできず、
ただ無言のまま身に着けているものを全て脱ぎ捨てた。
普段なら雄々しく戦場に立つ彼が、今ではまるで無力の子供のようにマナに使役されていた。

「騎士さま、はやく来て。マナのいやらしい体を、味わってください」
マナが猫なで声で誘うと、ドスラットはマナに覆い被さった。
彼は欲望が満ちた獣のように、白い乳房にすいつく。
「あはぁん。もう、慌て者なんだから」
マナは淫らに微笑むと、妖艶な水蛇のように体をドスラットに巻きつかせた。

彼らの淫靡な行為を見て、シャロスは溜まらず自分の一物をしごきだした。
耳から聞こえてくる淫蕩な喘ぎ声に、彼の喉がからからになった。
シャロスは一時もマナの裸から目を離さず、彼女の恍惚な表情を追いながら欲望を滾らせた。
柔らかい織物の上で二人の男女は激しく蠢き、やがて股を重ね合わせた。

(くっ、足りない……こんなんじゃ、足りないよ!)
シャロスは自分の渇きを感じていた。
マナの艶かしい裸を抱きたい。
彼女のあそこに、熱い精液を注ぎたい。
ドスラットの動きに合わせ、腰を悩ましく動かすマナの姿に、シャロスはこれ以上無い欲情を覚えた。
そして時々、マナはドスラットの背中を越して、シャロスがいる方向に淫らな笑みを送ってくる。

相手が自分を挑発しているのを分かっている。
しかし、シャロスは歯痒い思いを抑えることができなかった。
ふと、彼の目線はさきほどマナから預けられた黒い下着に触れてしまう。
その途端、マナの誘惑するような言葉が耳元でよみがえる。

(途中でしたくなったら、それで私の匂いを思い出してね)

シャロスはその黒い布切れを見て、ごくりと息を飲んだ。
刺繍を施されたシルクは、触り心地がとても良かった。
薄めの布地は、それを履いた者のあそこを軽く隠していることを想像すると、心が大きく興奮した。

やってはいけない行為と分かっていた。
一国の王となる者が、そんなはしたない事をするなんて、彼のプライドが許さない。
しかし、今のシャロスにとって、マナへの欲望は何よりも魅力的なものであった。
彼はゆっくりとシルクのショーツを持ち、彼女の陰部に当たる部分を鼻に近づかせ、大きく息を吸った。
うっすらと甘酸っぱい匂いが、脳に染み渡っていく。

595 名前:魅惑の皇后 第四話(15/20)[sage] 投稿日:2008/07/15(火) 21:29:08 ID:mL0CRv5Q
(はぁ……これが……マナの匂い)
シャロスは左手でショーツを持ったまま、右手でペニスをより強くしごいた。
そして、彼は熱い目線をまぐわう二人の男女に注いだ。

「はぁっ、うくっ……はああぁ!」
「はぁ、はぁ……」
「あははっ、いいわ、騎士さま!もっと、マナを突いて!私のいやらしいオマンコに、もっと欲情して!」
「うっ……そ、そんな、締まる……だめだ、もう、出るぞ!」
「あははは、それはだーめ!」
マナは笑いながら、ドスラットのたくましい胸板に両手をつき、動きを止めた。
彼女の体中に汗玉がきらめき輝き、濡れていた背中や乳房が美しく映された。

「くっ……も、もう我慢できない……」
「うふふ……じゃあ騎士さま、イク前に聞かせて。騎士さまは、私のこと好き?」
「あっ、ううっ……す、好きだ!」
「私のことを、この世の誰よりも愛していると誓える?」
「ちっ、誓う!俺は、お前のことを……この世で一番愛してる!」

「じゃあ、これからも私の言うことを全部聞いてくれるよね?
 どんな難しい注文でも、私のために、忠実にやってくれるよね?」
「はぁ、うぐっ……誓うよ!これからも、お前のためなら、俺はなんだってやる!
 だから、速く……速くイカせてくれー!」

彼の言葉を聞くと、マナは満足の笑みを浮かべた。
「うふふ、よく言ってくれたわ。ご褒美に、盛大にイカせてあげるわ!
 これからもずっと、ただ私の奴隷となって生きなさい!」

マナは自分の体を上にして、ドスラットの上で腰を波のように強くうねらせた。
「ああ、ああぁぁぁ!」
ドスラットの口から、快楽に満ちた悲鳴が出てきた。

「そうよ!そうやって、私のオマンコを感じなさい!
 もう二度と忘れられないように、私のオマンコの味を覚えさせてあげる!」

マナはあどけなさが残る顔を邪悪な笑みで染め、ドスラットの上で激しく動いた。
その快感を想像しながら、シャロスは股間の物を高速にしごく。
鼻の中を充満するマナの匂いが、シャロスの理性を暗闇へと葬る。
マナと性交している錯覚を覚えると、彼のあそこがビクビクと跳ね出した。

「ああぁっ、もう……だめだ!で、出てしまうっ!」
「はぁん、いいわよ……私の中に出して。あなたの汚らしいザーメンを、いっぱい出してちょうだい!」
マナは口元を吊り上げ、腰をギュッとひねった。
その衝撃に、ドスラットは乾いた悲鳴を出した。
それに合わせて、シャロスのあそこからもドピュッと白い精液が吐き出された。

「ああっ、うぐっ……ううっ!」
ドスラットは歯を食いしばって、腰を懸命に突き上げた。
「あはぁん、いいわよ……私の中で出すために、そんなにがんばっちゃって。
 ああぁん、出てくる……中で精液がいっぱい出てくる!」
マナは熱っぽい表情で、快感のために体をしなやかせた。
彼女は両足を痙攣させながらも、最後の一滴までを搾り出すように、腰をゆっくりと上下に動かし続けけた。
その妖しい快楽に、ドスラットはただ体を震わせながら、床に身を置いたまま耐え続けるしかなかった。

  • 最終更新:2014-08-19 20:41:09

このWIKIを編集するにはパスワード入力が必要です

認証パスワード