6スレ53-58

53 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/03/25(日) 22:15:03.08 ID:wXGdC9Pd
ピンポーン。



ピンポーン。



ピンポーン。



……

[改行]

ピンポーピンポーピンポピンポピポピンポピポピポピポピポピポピピピピpppp



「うるさいっ!」

いつもの癖でろくに相手を確認せずに勢いよく玄関の扉を開けてしまった。

「うぎゃあぁっ!」

ゴン、という鈍い音と共に可愛らしい悲鳴が聞こえた。
少し下に視線を落とすと、そこには頭を抑えている女がいた。
女……には違いない。OL風な格好をしているし、身なりもきちんとしている。
……のだが、何か拭いきれない巨大な違和感。
女に不躾な視線を這わせて観察する。
何というかその、服に着せられているというか、サイズが合っていないっぽい。似合わないわけでは無く
随分背伸びというか、お前ちゃんと自分の身の丈を把握した方が良いんじゃないか、とかいろんな事が
頭の中を飛び交う。
ええい、端的に言おう。


チビっ子だ。



インターホンをしつこくならされ、玄関の扉を開けるとそこには頭を抑えているチビっ子少女(OL風味)がいた。



以上。こんな報告で今現在の情景が伝われば幸いだ。

54 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/03/25(日) 22:15:38.64 ID:wXGdC9Pd
「うぅ~、ひどいです。たんこぶになったらどうするんですか」

おぉ。たんこぶとか久しぶりに聞いたぞ。大人になるとそんな機会ないもんな。
大人になってからできると結構危険らしいし。むしろ自分の子供を諌めた時にこっちが作る側だよな。

……って、違う!
違うぞ、俺。今考えるのはそんなどうでもいいことじゃないんだ。
よく考えろ。
目の前の少女が一体誰で俺に何の用があるのか、先ず確認するのはそれだ。
今までの人生の記憶の中で少なくとも俺にはこんな知り合いはいない。
と、いうかろくに女友達もいないしな。え、彼女? 何それ?
もしかして大学の別学部の人とかか? それなら向こうが一方的に知っていてもおかしくはない、か。
しかし、別学部とはいえこんなちんちくりんな女がいたら目立つはずなんだが。
パッと見中学生くらいだしな。皆に小動物扱いされてちやほやされるタイプだ。

それとも昔の同級生、とかか? う~ん、全く分からん。


「どちら様ですか?」

俺が聞くと、「あ、失礼しました」と今初めて気づいたような顔を作って少女は背筋を伸ばした。

「初めまして、私───」

少女はまるで太陽のような満面の笑みを浮かべながら、


「───こういうものです」

差し出した両手に乗せられた一つの名刺には、ピンクの文字がきゃるるる~んっと丸っこく綴られている。


『来いよアグネス! ロリロリ学園 3年4組保険係 佐藤あいか(はぁと)』

55 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/03/25(日) 22:16:43.91 ID:wXGdC9Pd
……。



これはアレだ。うん、……やばい。
名刺は受け取らず、無言で扉を閉めようとすると少女は慌てながら、

「あ、ちょ、ちょっと待ってぇ! 怪しいものじゃないですから。お話だけでも聞いて下さい、あ痛っ、ちょ、あの
さっきから足が扉にガツンガツンって当たってたりするんですがっ」

どこぞのしつこい勧誘セールスよろしく、いつの間にか扉の間に足を滑り込ませている……!
くっ、なかなかできるやつだな。えい、えい、早く諦めろ。我慢しても足が痛くなるだけだぞ。
というか本当に何なんだよこいつ。

少女“佐藤あいか(おそらく偽名だろうが)”が涙目で訴えてくるので仕方なく扉を閉めるのを諦めた。



「ふぅ、ようやくお話を聞いてくれるようですね」

いや、聞くつもりはさらさら無いんだが。

「えーと、改めまして、私は怪しいものじゃありません」

二回繰り返すとか逆に怪しさを増長させるだけだと思う。というか勝手に喋りだしたぞこいつ。
え、俺強制的に聞かなきゃダメな感じ?

「私はあなたのお悩みを解決するために派遣されてきたのです」

……。すげぇ胡散臭ぇ。

56 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/03/25(日) 22:17:47.03 ID:wXGdC9Pd
「あなたが日夜悩まされているという事を聞きつけた私どもの会社の人間が、そんなあなたを不憫に思い、
そして私は今日ここにやってきました。こう見えても会社の中でも優秀な社員なんですよ」

えへん、とそういって少女は全く力こぶの無い白い二の腕を見せる。

「……はぁ。まぁ突っ込みどころは多いけど、とりあえず俺悩みなんてないから。人違いじゃない?」
「え? いやいや、あなたで間違いないですよ。住所もここですし、カルテの写真もあなたに違いないし」

というか俺の写真?
こいつストーカーか何かか?

「このカルテにはあなたの詳細が記載されているんです」
「俺の悩みも?」
「はい。もちろんです」
「じゃあ、俺の悩みをズバっと当ててもらおうかい?」

俺の悩みなんてネットの回線が遅いくらいだけどな。

「えーと、最近頻繁に夢精とかしていませんか?」

57 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/03/25(日) 22:21:12.82 ID:wXGdC9Pd
本日何度目の絶句だろうか。
しかもこいつ人の玄関の前で何言っちゃってんの? つーか、アパートの廊下に結構響いたよ今のセリフ。

「あ、すみません! 間違えました。え~と、……あれぇ、何だっけな?」

と、件のカルテらしきものをパラパラめくる。
全く頼むぜおい。

「童貞なのが悩みなんですよね!?」

頼むぜおぉい!

「あ、違う。えーと、これだ! ほうk」


最後まで言わせる前に、アパートの住人に聞かれることを恐れた俺は少女の手を引いて玄関の扉を閉めた。

「ふぁ……。い、意外と大胆なんですね」


後から冷静に考え直すと、この時に自分がいかに間違った行動を取っていたのかが如実に分かる。
少女の手を引いた勢いでそのまま腕の中に抱きかかえるような格好になっていたのだ。
少女の顔が丁度心臓の辺りに密着している。

「そんな大胆なことされちゃうと、こっちも、その気に、……なっちゃいますよ?」

そう言って少女は頬をほんのり赤く染めながら、そっと小さな手を俺の股間に宛がい、ゆっくり擦りだした。

なんだこの展開? これ立場が逆だったら完全にアウトですよね? いや、もう既にアウトか。
いきなりの展開に全く状況が把握できず、そのまま少女にされるがままにされていると、

「あ、大きくなってきましたー」

この状況で何なんだこの逞しい愚息は!
あぁ、小さな手の小刻みな動きが気持ち良いなぁちくしょう。何なの痴女なの?

少女はそっとブラウスの胸元を指先で摘み上目遣いでこっちを誘惑する。

「背格好の割には、大きいって、よく言われるんですよ」

見た目からは想像も出来ない、まるで娼婦のような艶のある表情と仕草で。

「……良ければ、確認してみます?」

58 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/03/25(日) 22:22:20.96 ID:wXGdC9Pd
「ありがとうございました。あ、じゃあ最後にこちらにサインだけ頂けますか?」

渡されたカルテらしきものにサインすると、少女は小さく手を振りながら笑顔で帰っていった。
てっきり怖いお兄さんが出てきて「何やってんだこらぁ!」とか「慰謝料きっちり払えよ」とか、
そんな裏があるかと思っていただけに何か拍子抜けしてしまった。

結局、悩みが解決されたわけでも何でもない、というか、うん何だその。
まぁこちらも良い思いができたので何も言うまい。
すっかり多彩なテクニックに骨抜きにされてしまった。今日からロリコンデビューかもしれない。



後日。
“ご契約ありがとうございます”と書かれた保険のパンフレットとその他幾つかの冊子類、そして入金支払
い用の用紙が同封されて投函されていた。
優秀な保険係、ね。つまらん冗談だ。

この保険を一方的に解約すれば、またあの少女に勧誘してもらえるかなと考え始めている自分が情けない。
思い出すだけで、……ふぅ。

  • 最終更新:2014-09-03 21:07:47

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