6スレ740-750

740 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/05/16(水) 07:48:45.50 ID:cmvtLrhm
自室のパソコンの前で、俺はひとり目を血走らせていた。
デスクトップに表示されているのは、いつもの行きつけのスレッド、『女の色仕掛けに嵌められるSSそのⅥ』。
悪意ある女の魔手により、ごく一般的な日常から、地獄の淵めいた破滅への道へと導かれる――
女への屈服を旨とする普通のMシチュに比べ、より非現実的で倒錯的なシチュエーション。
Mシチュ自体は一昔前に比べれば随分メジャーになった。だが、
『色仕掛けフェチ』作品の絶対数は未だ少ないままだ。

潜在的な愛好者は決して少なくはない。スレッドが6までも伸びていることがその証左と言える。

しかし最近では随分と投稿作品の数は少なくなった。
作者が飽きてしまったのか、作品発表の場が他に移ってしまったのか、それは分からない。
SSが投稿されない間、スレ住民のフラストレーションも溜まっている様子。
そんなあるとき、色仕掛け・誘惑作品の情報を各自書き込むことが多くなってきた。
スレッドを落とさないため、表面上の活気を維持するため、あるいはただの暇潰し。
各々の思惑はそれぞれ違っていただろう。しかしそんな書き込みが繰り返されるうち、
いつしかSSスレとしての役割から、単なる雑談スレッドとしての役割へと移り変わってきていることを、俺はどこかで寂しく思っていた。



夜勤を終え、疲れた身体をパソコンチェアーにどっかとあずける。
そして2chの専用ブラウザを立ち上げ、いつものようにスレッドの巡回を始めた。
「……うーん。今日は新作来てない、か。ま、しゃーない」
疲れきった溜息に落胆の色が混じる。未読件数がある程度溜まっていたから、今日こそはと期待を抱いたのだが。

「……チッ、なんだこのくだらねぇレスはよ……」

巡回の中で見つけたとある名無しの若干荒れた書き込みが、そんな苛立ちと落胆に拍車を掛けた。
ささくれだった感情のままその書き込みへのレスを返す。投稿直後、少しだけ冷静になった頭が、自分が普段嫌悪している荒らしそのものの行動をしてしまったことに思い至り、また罪悪感と疲労感が上乗せされてしまった。
体重を背もたれに深く掛け、目頭をぐりぐりとマッサージする。
ぎしぎしと軋む安物の椅子。夜明け前の静かな室内に響く冷却ファンの音と相まって、随分と物寂しい。
今日は疲れた。とっとと一発抜いて、もう寝よう。
そんなことを考え、ズボンを下ろした時だった。

741 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/05/16(水) 07:49:15.21 ID:cmvtLrhm
「あらあら。色仕掛けで堕とされるのが好みだなんて、随分と片寄った趣味をお持ちのようですねぇ」
「――っ!?」

背後から唐突に響き渡る女の声。
一人暮らしの俺の部屋に、女っ気など一切ないはずなのに――。

「だ、誰だっ!?」

反射的に振り向く、その視線の先には、

「くす。別に誰でもいいでしょうに。
 どうせ今から逝ってしまうのですから、ね?」

上下の黒の下着だけを身に付けた美少女が、ぷかぷかと宙に浮かんでいた。
腰まで伸ばしたロングの黒髪が特徴的な、日本人形のような容姿のその少女。
その背中に蝙蝠の翼を生やし、尾てい骨のあたりからは艷やかな光沢を放つ漆黒の尻尾を携え。
幼さの残る風貌に似合わぬ、男を誘う蠱惑的な媚笑。
各所の肉付きはそれほどでもないが、成長途上を思わせるその微かな膨らみは、
少女の醸し出す妖艶な気配とも相まって、恐ろしいほどに扇情的だった。



「ふふ……サキュバス。こう名乗れば、概ね目的は伝わるでしょうか」
「さ、サキュバス……?」

その存在を、知らないはずがなかった。
男を食らう魔性。精を啜る悪魔。
物語の中の存在でしかなかったはずのサキュバスが、今、目の前にいる。
そして、その目的は言うまでもなく――俺の、生命。
待ち望んでいたはずの邂逅。どこか非現実的な感覚のまま、俺は目の前に浮かぶ少女を見上げていた。

「くす。それにしても、色仕掛けですか。
 元々私達サキュバスは色仕掛けこそ本領と言えますが……
 それでは、今日はそういう趣向で行きましょうかね」

空中から画面を覗き込むと、サキュバスはいたずらっぽく笑った。
ふわりと床に降り立ち、未だ呆気にとられる俺の前に立つ。

「いえいえ。本当は適当に搾って終わりにするつもりだったのですが。
 ふふ、こうして悪魔と出会えたのも何かの縁。お望み通り――快楽で堕として差し上げましょう」

深紅の瞳がほのかに煌めく。
少女の背中でばさりと広げられる蝙蝠の翼。
薄赤く形の良い唇を、ぬらりと赤い舌が這う。
少女の全身から発せられる妖艶な気配に、心臓が一度、どくりと高鳴った。

「人間さん、あなたはこれから、今ご覧になっているそのスレッドを滅茶苦茶にしてください」

にっこりと微笑みかける少女、その瞳には、隠そうともしない加虐の色が浮かんでいて――。

「私、男の人をいじめるの、大好きなんです。
 最後まで、私の言うとおりに出来たのなら――とっておきの『御褒美』、あげちゃいますよ?」

そう言って、どこまでも魅力的な提案を、俺に持ちかけてきたのだった。

742 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/05/16(水) 07:52:13.68 ID:cmvtLrhm
「ふふ、何を躊躇されるんです?
 画面の向こうにいるのは親でも友人でもなんでもない、単なる他人に過ぎませんよ?
 そんな有象無象など捨て置いて、さ、自分の快楽に素直になりましょう……?
 ま、私に自由意思で触れることは許しませんけど、ね」

サキュバスはぴとりと俺に寄り添い、左腕を自身の薄い胸に捕らえた。
そのまま俺の手をすらりとした太腿へ導き、すりすりと擦り付けそのすべらかな肌触りを堪能させる。
肩には頭を載せられ、ふわりと漂う甘い黒髪の香りが鼻をくすぐる。
媚びを含んだ紅色の瞳が上目遣いに俺の顔を見やり、男を惑わす誘惑の色香を意識へとすり込んでくる――。

「あ、ああ……わかった……」

抱きついてくる少女の誘惑に負け、俺は静かにキーボードを叩いた。
適当な文面を投稿し、数分待つ。まだ夜明け前ということもあり、人も少ないのだろう。
時計の針の音と、お互いの呼吸音だけが安アパートに響きわたる。
左腕に密着した女体の柔らかさと温もりに否が応でも意識が向かい、身体の奥底から深い興奮が沸き起こってくる。
心臓は脈動を早め、海綿体には既に血液が集まり始め、半分近く勃起していた。
サキュバスとの性行為、夢にまで見たその体験が、目の前に迫っているのだ。
どんなことをしてくれるのか、どんなに気持ちよくしてくれるのか――。
獲物という立場も忘れ、期待を膨らませてしまうのも無理はなかった。
そんな俺の分かりやすい反応に、画面に目を向けたまま、少女はくすりと笑みをこぼした。
男の習性など知り尽くした、蠱惑的な微笑。
見下されているのが分かっても、不思議といやな気はしなかった。
ただただ『御褒美』への期待を込めて、F5を押し続ける俺。
そして――ようやく、待ち焦がれたスレ住人からのレスが返ってくる。

「あら、どうやら返信が来たようですね。
 ……ふむふむ。くす、この方、随分と鼻息荒く噛み付いて来ましたねぇ。
 ちょっと気に食わない発言を見かけただけで、簡単に煽られて……なんて単純、短絡的。
 良かったですね、人間さん。短慮なご同輩のおかげで、ようやく弄って貰えるようですよ?」

画面の向こうの誰かの反応に、少女は意地悪く笑う。
誘惑に負けて彼女の思うがままに行動してしまった俺も、
それに煽られた誰かも、この人外の少女にとっては等しく嘲笑の対象に過ぎない。
それなのに、腹が立ちはしなかった。ただ意識にあるのは、淫魔を名乗る少女が、
『御褒美』としてどんな快楽を与えてくれるのか、その一事だけが、今の俺にとっては全てだった。
そして――人外の魔手が、するりとパンツへと這入りこむ。

「ふふ、それでは……」

ふにゅ、しゅりしゅり、くにゅ……

焼け付くような熱を帯びたペニスに触れる、ひやりと冷たい指先。
指先が亀頭に軽く触れる、ただそれだけで腰の奥にまで響く快感。

「ふあ……あぅ……」

望外の心地よさに、思わず情けない声が漏れる。
今まで抱いたどんな女の手とも違う、淫魔を名乗る少女の掌。
右手一本の戯れのみで男を惑い狂わせる――それは、文字通りの魔手。

滑らかな感触が亀頭から離れる。
そしてそれらは獲物を捕らえる白蛇のように、しゅるしゅるとパンツの内側を探るように這い回る。
冷たく柔らかい蛇体が、雁首を、竿を、玉袋を、内股を、太腿を、縦横無尽に犯していく。
時に優しく撫でさするように、時に鋭く指の腹で弾くように。
触れられた箇所に鳥肌が立つような疼きを残しながら、少女の戯れは続く。
男の性感を知り尽くしたその愛撫に、俺の理性は甘く蕩かされていく。

743 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/05/16(水) 07:53:26.03 ID:cmvtLrhm
「んふ……如何ですか? サキュバスの肌、気持ちいいでしょう?
 くす。このまま撫でてあげてるだけでも、人間さん、すぐにイっちゃいそ……」

底意地の悪い笑みに可愛らしい顔を歪め、小悪魔少女は淫蕩に囁く。
耳元に触れる温かい吐息がゾクゾクと耳朶を震わせ、脳髄を甘く痺れさせる。
既にペニスからは先走りがこぼれ、パンツの内部を生ぬるく湿らせていた。
見た目年下の少女に好き勝手にいたぶられていることなど、もはや羞恥でも何でもなかった。
ただこの甘い恍惚に浸りながら、気持ちよく射精へと導いて欲しい――。
そう心に思った時だった。
今までパンツの中を這い回っていた少女の掌が、するりと引き抜かれてしまう。

「あ――え……?」
「ふふふ、だぁめ。残念ですが、『今回』はここで終了です」

淫魔の愛撫からの急な解放に、間の抜けた声が思わず漏れる。
急速に覚めていく意識と、相変わらず熱く疼く股間の熱。
反射的に隣に座るサキュバスに非難の視線を向ける。

「な、何で!? ちゃんとあんたの言う通りにしたじゃあないか……!?
 こんな中途半端でやめるだなんて、そんな――」
「何を言ってるんです。あなた、たったひとつかふたつしか返信をいただけていないでしょう?
 これ以上続きをして欲しいのなら――もっと、大勢を巻き込むくらいでないと、ねえ?」

深紅の双眸をこちらに向けながら、美貌の淫魔は邪に笑う。
その瞳に秘めた光は、どこまでも悪戯げで、どこまでも性質の悪いそれ。
少女の意図はもはや明白。
愛撫を続けて欲しければ、もっと上手く、もっと激しくスレッドを荒らせと――ただそれだけを俺に要求している。

「も、もっと荒らせば……最後までしてくれるのか……?」
「そうですねぇ。ま、成功の程度にもよりますが――過去のどんな絶頂よりも遥かな高みへと、あなたを導いて差し上げましょう」

少女の言葉を受けて、俺は矢も盾もたまらず、キーボードに指先を叩きつけていた。
荒々しく紡がれる文面は、前後のレスとの一貫性にも乏しく、脈絡など存在すらしない。
ただただ激情を前面に押し出した、読むに堪えない雑文の類。
推敲すらももどかしく、俺は投稿ボタンをクリックしていた。
投稿から、一分、二分――まったく反応の返ってこない空虚な時間が、じりじりと俺の意識を焦がす。

「あらあら、鼻息荒くしちゃって。現金なものですねぇ……」

そう言って微笑みながら、再度少女は俺の左腕をその胸元に抱え込んできた。
そのまま半身をぴとりと寄せ、俺の左半身に極上の幼い肢体を擦り付ける。
ふにょりと柔らかい女体の感触が、ただでさえ昂った神経を一層に煽りたててくる。
胸元から伝わる少女の高めの体温が、意識を甘く包み込んでくる。
ふわりと薫る甘やかな少女の匂いが、より深い恍惚と倒錯の世界へと俺を引きずり込んでくる――。

「はあっ……はぁ……っ」

呼吸も荒く、俺の視線はデスクトップに釘付けになる。
ひたすらにF5を連打する、画面が切り替わるまでの僅かな時間すらももどかしい。
ペニスは今までになく硬く大きく張り詰め、少女の繊手による甘美な刺激を待ち望んでは先走りの雫を吐き出している。

左腕に絡みつく五感に纏わりついては焦らしてくる魔性の肉体。美少女の誘惑の視線がこちらに向けられているのを頬で感じる。
官能に染まる意識の奥底で、彼女とこれ以上視線を合わせては行けないと警鐘を鳴らす。
心を惑わす魔性の瞳。魂すら蕩かす深い色艶。アレは、人間が見てはいけないモノだ――。

「……ふ~っ……」
「ひぃっ……!?」

唐突に耳元に吹き付けられた淫魔少女の吐息が、必死に画面へと逸らしていた意識を強引に彼女へ引き戻す。
脳天を突き抜ける気色良さに、全身の神経が悲鳴を上げ、あまりの快感に鳥肌すら立ってしまう。

744 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/05/16(水) 07:54:03.49 ID:cmvtLrhm
「ほぉら、ちゃんと画面を見てくださいな。
 どうやらまた別の方があなたに噛み付いてきてくださったようですね?
 ……ふふ、この方もまた、善人ぶって、正義ぶって。
 その手前勝手な義侠心が、結局は余計に火に油を注ぐだけだと、気がついてないんでしょうかねぇ?」

耳元でぼそぼそと甘く囁くウィスパーボイス。
ずいと身を乗り出し、頬に唇が触れるか触れないかという微妙な距離に身を置いての甘美な囁き。
艷やかに濡れた唇から吐き出される吐息が、ふうわりと甘い香りを漂わせながら、意識を絡めとっていく。

「は、ぁ……うぁ……ぁぁぁ……」
「くすくす、んふふ……」

淫魔の誘惑を間近で受け禁断の恍惚感に震える俺を見やり、淫魔少女はどこまでも楽しげに笑う。
サキュバスたる彼女にとって、俺に荒らしを強要するこの行為などは単なる遊びでしかない。
己の技量と肉体でもって男の官能を煽り、思い通りに操り、また画面の向こうでの愚かしい感情に怒り狂う人間の姿を嘲笑うため、ただそれだけを目的とした手慰み。
それでも、男を見下す毒婦の思惑がはっきりと分かっていても。
淫魔少女に弄んでもらい、絶頂へと導いてもらえる――その誘惑は、何よりも強くオスの本能を惹きつけ離さない。

「さ、また御褒美をあげますよ……嬉しいですよねぇ、お望み通り、いたぶってもらえて……」

そう告げて、再びサキュバスの魔手が股間を撫でる。
先の手淫だけでも充分に先走りを吐き出していたペニスは、
再度触れられるまでもなく、極度の興奮に、一層多くの量を滴らせ、パンツの内側を汚していた。

「ふふ……おちんちん、べとべとになってる……。それに、すっごく熱い……。
 期待、してるんですね? 大丈夫――期待以上の快感、あげますから」

しなやかな指先が、ぬるりと亀頭を撫で付けた。
待ち侘びた刺激に、全身がびくりと震える。
牡の体液で濡れた先端部をぬるぬると這い回る白蛇。
亀頭をくにくにと摘み、雁首をソフトに擦りあげ、裏筋をじっくりとこね回す。
サオに5本の指を絡め、強弱を付けながら根元から先端近くまでを、時に優しく、時に強く握り締め、牛の乳でも搾るかのようにペニスを翻弄する。
パンツの内側で響きわたる、ぐちゅり、ぐちゅりとくぐもった音。
粘着質なその水音が、ペニスがどのように弄ばれているのかを想像させ、高まる興奮と性感とを強力に後押ししてくる。
若魚のような指先は玉袋にまで伸び、睾丸内部に蓄えられた精液を確かめるように柔らかく揉みこんでくる――。

745 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/05/16(水) 07:54:52.09 ID:cmvtLrhm
「あぐ……あ、うあぁ……ああ……!」
「くす。もっともっと喘いじゃってくださいな。
 これは『御褒美』なんですから。上手に言うことを聞けた、その、御褒美――」

どこまでも的確に、どこまでも執拗に、男の急所を責め立てるサキュバスの魔手。
股間を襲うあまりにも甘美な快感に、甘く甘く、心が芯から快楽に融かされていく。
絡みつく魔少女を振り払うことも出来ず、人外の魔手に狂わされていく。
そうして高まった快感が、徐々に腰の奥からせり上がってくる。
にゅこにゅこと男根の根元から緩やかに搾り上げられる刺激に、腰奥のわだかまりが、出口を求めてさ迷い始め――。

「はい、ここまでです」

そこでまた、少女の掌がするりと股間から離れていってしまう。
急速に薄れゆく快感に、火の付いた射精欲が、絶頂直前の状態そのままに行き場を無くす。
じんじんと股間で渦巻く熱が、解放を求めて意識を焦がす。
救いを求め、すがりつくような思いで、俺は傍らの少女に視線を向ける――向けてしまう。
そうして、淫魔少女と視線が重なる。本能的に恐れていたはずの、人外の魔性の瞳と――真正面から向き合ってしまったのだ。

「あ、あ――――」

目を合わせた瞬間、ぐらりと視界が揺らぐ。
続いて、平衡感覚を犯すような、深い酩酊感が去来する。
見つめられているだけで、視線を重ねるだけで、魂までも抜き取られ、どこか遠くへと連れ去られてしまう――そんな破滅的な予感が脳裏をよぎる。

「くす、どうされました?
 ちゃぁんと言うことを聞けない子には、御褒美、あげられませんよ?
 ほら、また次の文面を考えないと、ね……? 気持ちよく、なりたいんでしょう?」

促されるまま、また画面へと向き直る。
思考を快感の火花に焼かれながら必死に俺はデスクトップに意識を向ける、
白光に目を刺さされても、俺の視界には少女の瞳の色が強く焼き付いたまま離れなかった。
ぐらぐらと揺れる意識の中で、俺は次にスレッドに投げる文面を必死で綴り始める。
狂おしいまでの興奮に染め上げられ、思うように指先がキーを叩いてくれない。
たった数行の文章を、何度も消しては書き直し、ようやく完成させる。
そんな俺の荒く息をつき目を血走らせる様子を傍らで観察し、淫魔少女はくすくすと笑う。

746 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/05/16(水) 07:55:11.51 ID:cmvtLrhm
「そんなに気に病まなくても良いんですよ?
 あなたはただ、悪い女にそそのかされて、つい魔が差してしまっただけ……。
 ね? あなたのせいだけでは決してないんですから、もっと素直に楽しみましょう……ね?」

繰り返し繰り返し耳元で囁かれる悪魔の甘言。
人間の堕落の淵へと引きずり込む、余りにも甘美な食虫花の芳香。
しなやかな女体を俺に擦り付けながら、サキュバスはこの行為の正当性を何度でも何度でも意識の奥底にすり込み罪悪感を奪ってくる。
左腕に絡みつくぷにぷにと柔らかい乳房の感触。
左手は少女の太腿の間へと導かれ、すらりとした肉の狭間に囚われている。
少女が太腿を擦り合わせるたび、指先が熱く柔らかい少女の秘部にかすめる。
汗に蒸れた『おんな』の感触に興奮が高まり、じっとりと手汗がにじむのが感じられる。
俺の首筋にも長く艷やかな黒髪がかかり、甘い香りをふうわりと漂わせては嗅覚と味覚を犯す。
五感すべてを侵食するサキュバスの魔性の肉体。
少女の魅了攻撃をまともに受けた俺に、もはや抵抗の意志など残っていない。
このままじっくりと嫐られ、少女の思うがままに操られてしまうのみ――。
そこにあるのは、紛れもない悦びの感情だった。

「さあ、まだまだ夜は長いのです。
 ゆったりと、じっくりと、この今一時の逢瀬を愉しみましょう――」

そう告げて、また少女は俺のペニスに手を伸ばす。
意識を甘く融かす快感がまた股間に纏わりつき、そしてまた、絶頂直前で離れてしまう。
触れては高め、高めては焦らす魔性の手技が、何度も俺に襲いかかる。
何度も、何度も、何度も、何度も――。
焦らし責めに悶える俺の無様な姿に、サキュバスは愉悦の笑みを浮かべる。
魔少女の淫らな戯れは、まだまだ始まったばかりだった。

747 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/05/16(水) 08:22:00.36 ID:cmvtLrhm
それから数時間、俺は延々と少女にいたぶられていた。
その間、一度たりとも少女は射精を許可してくれない。
巧緻極まる繊細な手技で、射精直前にまで高めた状態をずっと維持したまま、繰り返し繰り返しペニスを弄び続けるサキュバスの魔手。
先端だけを執拗にく指の腹でくすぐる亀頭責めや、パンパンに張り詰めた玉袋だけをじんわりともみしだいたり――。
男の性感を知り尽くした魔性の手さばきに、ただただ俺は惨めな喘ぎ声をあげ、ぬるぬると先走りを吐き出し続けるのみ。
行為の途中でパンツは剥ぎ取られ、陰毛を濡らした先走りは会陰部や肛門のあたりまで垂れてしまっていた。

「ぁ……ぁ……」

全身がひどく発汗し、息も絶え絶え。
キーボードを叩く指先も、もはや初心者のように人差し指一本での操作しか出来なくなっていた。
とうとう腕を持ち上げる力もなくなり、キーボード上につっ伏すように倒れ込む。
それでもなんとか視線だけを持ち上げ、画面から決して外さない。
レスを確認するために、少女からの次なる『御褒美』のために、涙でかすむ視界で必死にスレッドを追い続ける。
キーボードが体重に潰され、不規則な文字列が投稿欄を埋め尽くしていく。
レスが来ない、レスが来ない、早く、早く、早く――。
かちかちと奥歯が鳴る。度重なる寸止めと、淫魔少女の全身から薫る誘惑のフェロモンに蝕まれた身体が、この責め苦からの解放を求めて悲鳴を上げている。
すがりつくような思いで、俺はまた淫魔少女へと視線を向けた。

「くす、人間さんったら、すっごくみっともない顔しちゃって。
 よだれ鼻水だらだら垂らして、目も血走らせて、このまま放っておいたら狂っちゃいそう……。
 ま、もうじき夜も明けることですし、そろそろお開きと参りましょうか」

言葉と同時、ペニスを強く握りしめる少女の掌。
五本の指の締め付けを巧みに変化させ、にゅこにゅこと根元から先端までを扱き上げる。
大量に漏れでた先走りを掌全体に絡め、にちゅにちゅといやらしい水音を奏でながら、
それは、明らかに男を射精させる意志を秘めた手技。
焦らしに焦らされ、許容量をはるかに超えた性欲の導火線に火をつける、高速のストローク――。
腰の奥でわだかまっていた欲望が、出口を求めて殺到する。
ペニスの根元で渦巻く灼熱が、これからやってくるであろう快楽を予感させる。
そして――

748 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/05/16(水) 08:22:35.56 ID:cmvtLrhm
「さ、これがトドメ。
 天にも昇る快楽のなかで、文字通り――昇天させて差し上げましょう」

――そして、決壊の時は訪れた。
一際強く激しくペニスが握り締められ、ぎゅぎゅっと先端に向かってしごき抜かれる――それで、終わり。
我慢に我慢を強いられ続けた男根が、一度だけ大きく震え――直後、白く弾けた。

「あ、ぐ、が、あああああぁぁぁぁぁぁ――――ッ!」

びゅくんっ! びゅく、どぴゅうっ! びゅ、びゅるるる……

焦らしに焦らされ、心の奥底から待ち望んでいた絶頂の大波が襲い来る。
びちゃびちゃとデスクトップに飛び散る精液。
脈動のたび、水鉄砲のような勢いで噴き出す欲望の粘液が、激しく尿道を焼きながら撒き散らされていく。
淫魔の手により大量に噴き出した精液は、そのままキーボードをもべっとりと白く汚した。
手の中で何度ものたうつペニスを巧みに操りながら、一切の容赦なくサキュバスは搾精を続ける。
的確に強弱を付けたグリップで射精を制御し、放出の快感を長引かせていく。
次から次へと湧き出す白濁をローションに変えて、男根への責めは一層激しさを増すばかり。

「あぁ――ッ! ひ、ぎ、いっ!」
「ふふ……気持ちいいでしょう? あなた、こういう風にして欲しかったんでしょう?
 悪~い悪魔に誘惑されて、今まで仲良くやっていたはずの同好の士を傷つけて。
 それで自分ひとりだけいい気分に浸っちゃうだなんて、くす、最っ低……」

射精中の敏感になった神経に、サキュバスの嘲笑う声が染み透る。
耳元で甘く囁くその声が、欲望に狂い悶える自分自身の姿を嫌でも想起させてくる。

「同じような趣味を持ってるのに、画面の向こうとこちら側で、見ている風景はまるで別物。
 運が良いですね? サキュバスに誘惑されて堕とされる経験なんて、普通に生きてたら味わえないんですからね……ふふ」

人外の快楽に悶えよがる俺の狂態が淫魔少女の加虐心を満たす。
にやにやといやらしい笑みを浮かべ、哀れな牡の股間を存分にこね回し続けるサキュバス。

「ぐあ、あ、うぁぁぁぁ……」
「さて、そろそろ余興も終わり。
 最後の瞬間は、きちんと私の眼を見ながらイくんですよ……?」

美貌の幼魔は精液を、生命を、搾り取られる悦びに染まった俺の顔を覗き見、視線を重ね合わせてくる。
淡く発光する魔性の瞳が、また俺の魂を射抜き、虜にする。
肉体と精神に、淫魔と交わる背徳の、永劫消えない快楽の楔が打ち込められ――。

びゅくん、どく、どく……

肉体に残った最後の精液と共に、俺の意識は生ぬるく溶け落ちていった。

749 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/05/16(水) 08:23:30.92 ID:cmvtLrhm
永遠に続くとも思われた絶頂がようやく終焉を迎えた。
軽くペニスの根元が細指につままれ、ぴっぴっと水を切るように上下に振られる。
玉袋の中身を全て搾り尽くし、尿道に残る最後の一滴までも吐き出させたことを確認し、少女はまた、満足そうに笑った。

「あは。随分といっぱいお漏らししちゃいましたねぇ。ん、ちゅぷ……ちゅ……ふふ、美味し……」

ねっとりと白く粘液の糸を引く少女の細い指先に、れろりと赤い舌が這う。
根元から先端へと向かい、たっぷりの唾液が滴る舌先が登っていく。
そうして舐めとった精液を載せ、再びその舌が口内へと引き戻される。
薄赤く、形のよい唇が唾液と精液に濡れる。赤と白の淫靡なコントラストに彩られた少女の魅惑の唇。
サキュバス少女の繊手により文字通り搾り取られた牡の濁汁が、
これもまた文字通り、少女の口内でじっくりと味わわれ、咀嚼される。
目をつむり、れろり、れろりと何度も舌を往復させ、掌にこびり付いたすべての精液を、美味しそうに舐め清めていく少女。
そのさまは、明らかに自らの艶姿を獲物へと見せつけているかのようで。
あの舐められているモノが、彼女自身の細指でなく、未だ焼け付くような快楽の残り香に震えるペニスだったら。
ねっとりと唾液を絡めながら、根元から先端まで、丹念に丹念に舐め清めてもらえたなら――。
生命力そのものをごっそりと抜き取られた、いつにない射精後の虚脱感の中で。
そんなことを、どうしても夢想せずにはいられない。

「ふふ、精液の質はそれほど良くは無いようですが、量だけはご立派な様子。
 まだ残っている分の生命力も、別にこのまま吸い尽くしてしまっても構わないのですが――ま、いいでしょう。
 あまりお腹は膨れませんでしたが、最後までちゃんと言うことを聞けた御褒美です。特別に、今日はこれで勘弁してますね」

未だ快楽の余韻から覚めやらぬ俺を尻目に、サキュバスは汚れた指先でカタカタとキーボードを叩く。
画面の向こうでは、未だに俺に煽られたスレ住民たちが悪感情も露わにレスを送って来ているようだ。
荒れに荒れたスレの空気などどこ吹く風とばかりに、少女はよどみなく文面を書き連ねていく。

「『じゃあもう寝るからな、おやすみ』っと。これで終息宣言は完了……。
 さて、それじゃあ私も帰ります。人間さん、今日はいっぱいイジメて貰えてよかったですねぇ?
 とはいえ、もう会うことは無いでしょうけど。それでは――」

くすくすと笑いながら遠くへと離れていく、間近にあった少女の体温。
少女が与えてくれた背徳の快楽。名残惜しむように、俺はその姿を目で追ってしまった。

750 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2012/05/16(水) 08:23:46.42 ID:cmvtLrhm
「ま、待って……」

そしてあろうことか、サキュバスを呼び止めてしまっていたのだ。

「はて、何の御用でしょうか?」

足を止めて振り向きながら、少女は見透かしたような笑みをその美貌に浮かべる。
それはつまり、俺の行動は、この悪魔にとってはまさに目論見通りだったということ。
欲望に屈した哀れな牡を見下す悪女の視線が、真正面から俺の目を射抜く。
見てはいけないはずの、あの深の瞳を、真正面から――。

「何も無ければ、もう帰ろうかと思うのですが。
 何かあるなら、どうぞ仰ってくださいな?」

にやにや、にやにやと。端正な美貌を肉食獣のように歪めながら、サキュバスは俺の言葉を待っている。
わざとらしく小首をかしげ頬に手を当て悪戯っぽい小悪魔の笑みを浮かべながら、
獲物の完全なる屈服を、黙って待ち構えているのだ。
心身に刻み込まれた、背徳感に染め上げられた天上の快楽。 
その甘美な記憶が、俺を惹きつけ離さない。

「もっと……もっと、気持ちよくしてください……お願いします……」

絞り出すような、情けない懇願の声が漏れる。
手淫だけでない、もっともっと深く、少女の肉体を味わいたい。
否――自分の身体を味わい尽くして貰いたい。その欲望の代償が、たとえ生命そのものだったとしても――。

「くす……。完全に堕ちちゃいましたね。
 私、もうあなたにそれほど興味はないんですけど……お望みとあれば仕方がありません。
 あなたの命、最後の一滴まで、残らず搾り尽くして差し上げましょう」

蝙蝠の翼をばさりと大きく広げ、淫魔少女は静かに歩み寄ってくる。
そのまま黒翼で俺の全身を包み込み、お互いの肉体を深く密着させる。
目の前に酷薄な笑みを浮かべた美貌が迫る。深紅の瞳に絡め取られたまま意識がゆらぎ、深い深い奈落のそこへと意識が吸い込まれていき――――。



その後、アパートの一室で干からびた男性の遺体が発見された。
自室のパソコンの前に座り、キーボードに突っ伏したままの亡くなっていた男の身に何が起きたのか――。
真相は誰にも知られないままだった。

  • 最終更新:2014-09-06 16:20:08

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